置き竿の“守護神”マダイ獲りアシスト 「ロッドキーパー」誕生秘話

[ 2020年5月6日 07:16 ]

マダイの乗っ込み期に置き竿釣法でゲットした良型。勝山・庄幸丸で
Photo By スポニチ

 【私と釣り】じっと我慢のGW。ステイホーム週間はホントつらい。本来ならマダイの乗っ込み期。例年、各地に飛んで行ってたはず。そのマダイで思い浮かぶのが「置き竿釣法」だ。今や沖釣り界では当たり前のロッドキーパー(竿掛け)だが、その誕生に筆者の発想が一役を担った。(スポニチAPC・林 悠二)

 マダイ、ワラサをはじめ沖釣り場面で、大いに役立つ竿掛け。船のピッチングが良い誘いになり、自動的に食わせることも。電動リールが主流になってからは、ますますロッドキーパーが欠かせないアイテムに。今では持っていない人はいないほど普及した。

 この竿掛けとの出合いは筆者がスポニチに入社して数年後のこと。

 オキアミが釣り餌として台頭し始めた頃。当初は磯釣りの餌だったが、沖釣りでもと使ったところ爆釣。相模湾でマダイ釣りが盛んになったのは、まさにこのオキアミ効果も一因。

 釣行は「永井リグ」の生みの親、永井裕策さん(スポニチAPC)と時折、「11PM」で活躍する故服部善郎さん。共にマダイ名人で、よくマダイ釣り場を巡った。

 当時は重いビシでの手持ちが主流。まだ、機能的なキーパーの存在はかけらもなかった。

 そんなある日、名案が浮かび一釣り人の願いとして服部名人に提案をした。それは毎週通った真鶴沖で。ある方法で狙うとマダイが高確率でヒットし、数も伸びることを知ったからだ。

 筆者は取材を兼ねて竿を出すため、誰かが釣ると忙しい。カメラを手にし船中を行ったり来たり…。その時に苦肉の策として編み出したのがコレ。船べりを枕にして竿尻を手提げバッグの取っ手に引っ掛けて、当たりを待つスタイルだった。経験を重ねるうちに手持ちだとつい誘いたくなるが、臆病な魚に誘いすぎは不向き。静かに上下する船のピッチングが誘いとして最適なのを確信したのだ。この置き竿釣法は大当たり。仲間同士の釣り会などで好成績を出した。このことを名人に話したのだ。

 「ユーちゃん、それ名案、同感だね」と目を輝かせる。

 業界に精通する名人が関係するメーカーから、使い勝手の良いステンレス製の竿掛けが新発売されたのはその2年後。持つとカシャカシャと派手な金属音がした。

 竿を動かさず、静かに当たりを待つ“置き竿釣法”が浸透していくのは言うまでもない。置き竿を思い付いても、自分では製品化までの発想はゼロ。その陰でこのキーパーの誕生に力を注ぎ、待望の便利グッズとして世に送り出してくれたのはまさに服部名人のおかげだと思っている。

 ロッドキーパーはその後、各メーカーが追随。現在の釣り場面では、全ての釣りで必携品になっている。

 筆者も今では3種を使い分けるが、名人のような名場面にはまだ巡り合っていない。名人と話す中で生まれたロッドキーパー。置き竿釣法の誕生と確立は筆者にとっての宝と言える。

 ▽服部善郎さん 日本テレビの深夜番組「11PM」(1965年から24年間放送)に釣り名人として出演、釣りを日本の国民的レジャーに押し上げた立役者。2011年8月、すい臓がんのため82歳で死去。日本釣振興会(東京都中央区)のある日本フィッシング会館に「名人の釣り部屋」を新設。展示品は130本を超す竿、リール、珍品仕掛けなど。

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