【コラム】金子達仁

昇降格システムの存在意義

[ 2020年12月24日 07:30 ]

Jリーグが、プロ野球やBリーグから学ぶこともある
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 フロンターレが歴史的、伝説的な強さを見せつけた今季が終わった。ベスト11のうち9人を一つのチームが独占?

 こんなこと、たぶん二度と起こらない…と言いたいところだが、ひょっとしたら来年も、ということもありうる。それぐらい強かった。あっぱれもあっぱれ、大あっぱれ。

 若いころ、アルファ・ロメオのSZというクルマに猛烈に憧れた。奇天烈(きてれつ)というか、破天荒というか、唯一無二の存在感に。ついたあだ名が「イル・モストロ(怪物)」。昨年のJ2最終戦での8ゴールを見せつけられた時も思ったのだが、オルンガ、やっぱり怪物だった。なぜスペインで上手(うま)くいかなかったのかが、正直、まったく理解できない。勢いに乗った時のいまの彼なら、CLの優勝を狙うような存在であっても止められまい。

 喝も喝、なんだったら10コぐらい喝を食らわせても足りないのが、レッズとヴィッセル。勝負事である以上、大金を投じても優勝に届かないことは多々ある。だが、両チームともに得失点差がマイナスというのは、ありえないにもほどがある。

 特にレッズは、負けることがニュースにならなくなったばかりか、内容で圧倒されることも驚きではなくなってしまった。失ったものはあまりにも大きい。何かが、誰かが根本的に間違っている。来年こそは、復活、復権を期待したい。

 個人的に一番気になっているというか、ファンの皆さんの意見を聞いてみたいのは「今年のJリーグ、例年と比べて面白かったですか?」ということ。

 つまらなかった、という意見が多数派であれば、まあ納得する。だが、面白かったという意見が多かったとしたら、これはちょっと、今後を考える必要が出てくる。

 降格と昇格について。

 下部リーグへの降格は、どんなチームにとっても大打撃。最悪の事態に陥ることを防ぐため、ほとんどのチームは選手に資金を投入する。結果的に疎(おろそ)かになってしまうのは、施設やスタッフにかけるお金。多くのJリーガーが受け取るギャラも、世界的に見れば決して多いとは言えないが、スタッフたちが置かれている環境に比べれば遥(はる)かにマシ。

 だが、恒久的に降格がなくなれば、クラブも違ったお金の使い方ができるようになる。スタジアムは充実し、運営スタッフも若い人たちが憧れる職業になるかもしれない。

 もちろん、降格システムをなくすことで、Jリーグが退屈になり、レベルが下がってしまうのであれば本末転倒。何がなんでも続けていくしかない。

 だが、退屈と感じるファンが少なかったら?レベルの低下がなかったら?それでも降格にこだわらなければいけない理由は?

 日大山形サッカー部出身の島田チェアマンが「プロ野球とJリーグのハイブリッドを目指します」というバスケットのBリーグは、昇降格を廃止し、エクスパンション(拡張)の方向に舵(かじ)を切る。沖縄市には世界どこにも恥ずかしくないという専用アリーナが完成する。

 企業名を排し、地域密着を謳(うた)ったJリーグの理念は、日本のスポーツを大きく変えた。プロ野球でさえ、その影響を大きく受けた。コロナ禍のいま、今度はJリーグが、プロ野球やBリーグから学ぶ姿勢もあっていい。(金子達仁氏=スポーツライター)

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