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帝京長岡 壮絶PK勝ち!両チーム計38回は史上最長

[ 2019年1月3日 05:30 ]

<第97回全国高校サッカー選手権>旭川実19人目のキッカー・藤本のキックを止めた帝京長岡GK・猪越が仲間に押しつぶされる(撮影・大塚 徹)
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 第97回全国高校サッカー選手権2回戦16試合が各地で行われ、2大会ぶり6度目の出場となる帝京長岡(新潟)は、旭川実(北海道)戦で19人ずつが蹴ったPK戦を17―16で制し、6大会ぶりに16強入りした。大会本部によると、両チーム計38回蹴ったPK戦は大会史上最長。前回大会準優勝の流通経大柏(千葉)も初戦を突破。本田裕一郎監督(71)は衛星利用測位システム(GPS)を導入。俗に「ブラジャーGPS」と呼ばれるGPS機器でチームを強化した。

 両チーム合計38人目となる旭川実MF藤本のシュートをはじき出した。大会史上最長のPK戦に決着をつけたGK猪越は「最高です。やっとヒーローになれた。(80分間で)2失点していたので、やっとチームの役に立てた」と笑顔を見せた。

 2―2で突入したPK戦はアクシデントの連続。DF吉田晴は蹴った後、足がつった。相手FW谷口も足がつりタンカで搬送された。途中で旭川実が給水を取り審判が注意して競技が止まり、直後に帝京長岡MF丸山が失敗する場面もあった。

 その中でも2年生守護神は冷静だった。古沢徹監督(33)からの「ぎりぎりのタイミングで斜め前に跳べ」という助言を守り、時折クロスバーにぶら下がり1メートル82の長身を大きく見せる工夫も。1人目を止めると、決められれば敗戦が決まる状況の13人目は右に跳んでセーブ。自らも11人目でシュートを決めてチームを救った。

 宮城県出身で中学時代はFCみやぎバルセロナ所属。同クラブOBの香川真司(ドルトムント)を尊敬する。「勉強も学年で2位か3位」(古沢監督)という優等生でもある。長い戦いを終え、指揮官は「1キロくらい体重が減りました」と苦笑いした後「ゾーンに入っていた」と殊勲の猪越を称えた。

 帝京長岡にとってPK戦は鬼門だった。全国高校選手権では過去4戦全敗。苦手克服へデータを取り成功率の高い選手に蹴らせていたが、昨夏の高校総体新潟県予選決勝で新潟明訓にPK戦負けした後「蹴りたい選手に蹴らせる」方針に変更。練習も選手の自主性に任せた。この日のPK戦前の古沢監督の指示も「自分で決めたところに蹴ろう」。そして全選手が枠に飛ばして負の歴史を断ち切った。

 ≪大会史上最長のPK戦決着≫帝京長岡が2―2からのPK戦の末に17―16で旭川実に勝利した。本大会のPK戦のスコアでは第65回(86年度)準々決勝の室蘭大谷(北海道)15―14宇都宮学園(栃木)を上回り、大会史上最長となった。今大会開幕戦でも那覇西が10―9で駒大高に勝利している。他に過去の本大会PK戦で両方あるいは勝利チームが10点以上決めたのは、第69回(90年度)2回戦の宇都宮学園10―9遠野(岩手)があり、今回で4度目。ちなみに、予選では89回(10年度)福岡県大会決勝のPK戦で九州国際大付21―20東福岡という記録がある。

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