将棋のパブリックビューイング!?ABEMA地域対抗戦で将棋界初の試み「新しい盛り上がり方になれば」

[ 2024年4月15日 05:00 ]

パブリックビューイング会場のファンたちと、(前列左から)佐藤紳哉七段、渡辺明九段、伊藤真吾六段、北尾まどか女流二段(撮影・小田切 葉月)
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 将棋をパブリックビューイング(PV)で応援する新たなスタイルが、ファンの間で注目されている。インターネット放送「ABEMA」で開催の早指し団体戦「地域対抗戦」で実施された将棋界初の試み。棋士が進行し、ファンがバルーンや声援でエールを送る光景は、まるでスポーツバーのよう。担当した佐藤光輔プロデューサー(36)は「新しい将棋の盛り上がり方になれば」と話した。

 13日の決勝では、渡辺明九段(39)率いる「関東B」と、藤井聡太王将=8冠=(21)が属する「中部」が対戦した。関東BのPV会場となった東京・千駄ヶ谷の飲食店「咸宜苑」にはファン30人が集結。揃いの法被を着て、怒濤(どとう)の攻めや緊迫の終盤戦に「おー!」「頑張れ!」と激励の声。最後は敗れたが「ナイスファイト!」と健闘を称えた。終了後にサプライズで渡辺が会場に顔を出し「今までの将棋界にはなかった試み。地域の盛り上がりにもつながり、自分たちも支えられました」と感謝した。

 棋士とファンの交流で一般的なのは大盤解説会。静かな環境下のイベントに対し、PVはファンが一体となって応援する新たな形となる。きっかけは2018年。ABEMAの将棋チャンネルとして新たなコンセプトを模索する中で、1度だけ開いたPVが反響を呼んだ。同郷という理由で棋士を応援するファンがいることにも着目。さらに日本将棋連盟会長の羽生善治九段(53)が就任時に「将棋による地域の活性化」を掲げたことを機に、今回の「地域対抗戦」を創設。それに合わせ、今回のPV開催が決まった。

 PVを通じ、参加者同士の出会いや交流の場になっている。13日の会場には、初対面だという渡辺ファンの40代女性2人が意気投合。「“推し活”としてはもちろん、こういう出会いが嬉しい」と笑顔。三次正人さん(42)は小4の息子・誠人くん(9)と親子で参加し、「息子とのコミュニケーションにもなり、一緒に盛り上がりました」と話した。

 さらにファンは、進行役の棋士と隣同士に座って会話することもできる。棋士にとっても貴重な機会で、伊藤真吾六段(42)は「お酒を飲みながらフランクにお話しできて楽しかった」と語った。PVを開始した1月当初は30人の募集を下回ることもあったが、満足度の高い企画が評判を呼び、申し込みが急増。決勝では約5倍の応募があった。

 今回は早指しで1局約20分程度。スピーディーな展開とあって、PVとの相性も良かった。佐藤氏は「いつかはタイトル戦でも開催してみたい」と意気込むが、1日8時間近くにもなる長時間の対局となれば工夫も必要。応援歌の制作などさまざまな角度からアプローチしていくという。どのように発展していくか、期待が高まる。(小田切 葉月)

 ▼地域対抗戦 日本将棋連盟100周年企画として今年初開催。全国を8の地域に分けて戦うチーム戦で、各チームは監督と棋士4人の5人で構成。各棋士は出身地や育った場所などから地域を選んで登録し、監督が各地域の棋士の中から4人を選抜した。今年1月から予選リーグが行われ、それぞれの地域でPV開催。今回は中部チームが優勝した。いずれも5勝先取の9番勝負。持ち時間5分で、1手指すごとに5秒が加算されるフィッシャールールで行われた。

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