尾上眞秀 歌舞伎界の未来を担う10歳の野望と素顔 「自分が死んでも2代、3代と続いて」

[ 2023年5月6日 05:30 ]

インタビューで笑顔を見せる尾上眞秀(撮影・藤山 由理)
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 2日に初日を迎えた「團菊祭五月大歌舞伎」で初舞台を踏んだ初代尾上眞秀(10)が、歌舞伎俳優としての第一歩を踏み出した。本紙の取材に「いつか自分が死んでも“尾上眞秀”という名前が、2代、3代と続いていってほしい」と大真面目に語った。名跡継承や海外公演への野望には10歳とは思えぬ責任感や迫力がにじむが、子供らしい愛くるしさも同居。自由なはしゃぎっぷりは、やはり10歳の男の子だ。

 尾上菊五郎(80)の長女・寺島しのぶ(50)の長男。生まれながらに歌舞伎役者としての将来が期待されていたが覚悟を決めたのは最近だ。

 「仮面ライダーになりたい」「サッカー選手になりたい」と夢は変わり、今は「ひーま(菊五郎)みたいな役者になりたい」。根底にあるのは人を楽しませる喜び。学校でも人を笑わせることが大好きで「大西洋、インド洋、大泉洋」という“持ちギャグ”で人気者。取材中にも定式幕にくるまって笑みを浮かべたり、カメラマンの制止を振り切って幕を閉めたり開いたりと、思わず顔がほころぶような姿を見せていた。

 現在は昼の部「音菊眞秀若武者」で立役と女形に挑戦。舞台映えする堂々の演技が早くも観客の心をつかんでいる。父はフランス人アートディレクターのローラン・グナシア氏で、初日には同国大使館関係者も多く姿を見せた。歌舞伎関係者は「日本の伝統芸能を海外に発信する俳優になってほしい」と期待を寄せている。その思いを知ってか「いつか海外で公演したい」。フランス語も学んでいるといい「フランスで歌舞伎をするのが夢」と伝統芸能の海外発信への使命感をのぞかせた。

 やりたいことを語り出したらきりがない。放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」で時代劇に挑戦し、1日にはテレビ朝日「徹子の部屋」にも出演。「歌舞伎以外にもいろいろな仕事をしたい。お母さんみたいに」と語ると、付き添っていた寺島も目を細めた。

 「自分に子供ができて、いつか死んで。それでも“尾上眞秀”が受け継がれれば」。音羽屋に連なる新たな名跡。常に重圧はのしかかるが、それを感じさせない自由さで歌舞伎界の未来を担っていく。

 ◇尾上 眞秀(おのえ・まほろ、本名寺嶋眞秀=てらじま・まほろ)2012年(平24)9月11日生まれ、東京都出身の10歳。17年に東京・歌舞伎座の「新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎」で寺嶋眞秀として初お目見え。22年にはTBS「ユニコーンに乗って」やフジテレビ「PICU 小児集中治療室」などドラマにも出演。屋号は音羽屋。

 ≪寺島しのぶ 初舞台に感無量「ここからがスタート」≫取材中もずっと眞秀のそばにいた寺島。初舞台を迎え「ようやくこの時が来た。でもここからがスタートです。同時に本当に恵まれた舞台を用意してくれた皆さまに感謝します」と感無量の表情を浮かべた。女性として生まれ、歌舞伎の舞台に立つことができない悔しさもあった。「私は歌舞伎を教えられない。でも芸を継承していくことが伝統芸能の素晴らしさで、眞秀は家に限らず皆さまが師匠になる。そこが一番の強みです」と愛息の今後の成長に願いを込めた。

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