朝ドラ「エール」古川琴音(下) 役のために勉強する先の夢

[ 2020年11月19日 08:15 ]

NHK連続テレビ小説「エール」で看護師の華を演じる古川琴音(右)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「エール」に出演する女優・古川琴音(24)は尊敬する俳優として英国のエディ・レッドメイン(38)の名を挙げる。レッドメインは理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士を演じた映画「博士と彼女のセオリー」などで知られる。

 「いろんな勉強をして、知識がないとできない役をたくさんやってます。役作りがとても緻密。役に対して謙虚な人なのだと思います。それでいて、その映画が難しい作品にならない。エディ・レッドメインさんが演じると、しっかりとキャラクターの感情が伝わってきます。頭脳派でありながら感覚派であるところに、あこがれます。私も謙虚で勤勉で、役のために努力できる俳優さんになりたい」

 初めての朝ドラ出演が主人公(窪田正孝)とヒロイン(二階堂ふみ)の娘・華という重要な役で、現在放送中のエピソードは自身が話の中心になっている。華役での出演が決まる前は、徐々に朝ドラで演じる役をステップアップさせたいと考えていたそうだが、今回ここまで深く演じた以上、客観的状況としては次のステップアップではヒロインが視野に入る。

 「窪田さん、ふみさんを見ていると、自分のことだけを考えているわけではありません。座長として、チームをまとめなくてはいけないし、自分の演技で、見ている人だけではなく、スタッフの人たちも鼓舞するようなパワーを持たなくではいけない。今の私はまだ自分にかかりきりだし、自分の芝居が悪かった時は自分のことしか考えられなくなってしまいます。もっといろんな作品を知って、いろんな視野を持たなくてはいけない。自分の役を作るというより、みんなで作品を作るという意識を持たないと厳しいと思います」

 実際に、ヒロインを務めた二階堂には助けられた。コミカルな演技に苦手意識があり、物語に盛りこまれるコメディーの演じ方に迷いが生じた時、「脚本と演出が完璧だから、何も考えないでセリフを言えばいいと思うよ」と声を掛けられた。その平易な助言で気持ちが軽くなり、楽しみながら演じる気持ちになったという。既に撮影は完了。コミカルな演技の苦手意識も克服でき、役者としての成長の手応えを感じている様子だ。これからどのような道を歩んでゆくのか。

 「これまでと変わらず、ひとつひとつの役に愛情を注ぎたいです。このまま順調に成長すれば、役のために準備する時間がどんどん短くなると思いますが、それでも、今と変わらないくらい、いろんなことを勉強して、深めていけるようになりたい。そして、日本だけではなく、世界から求められるようになれれば最高かなと思います」

 国際的な女優になるという夢。それが実現すれば、尊敬するエディ・レッドメインとの共演の可能性もゼロではなくなる。

 ◇古川琴音(ふるかわ・ことね) 1996年(平8)10月25日生まれ、神奈川県出身の24歳。2017年、女優・満島ひかりの主演映画に感銘を受けて芸能界入り。18年、映画「春」に主演。19年、映画「十二人の死にたい子供たち」の主要人物の1人を演じて注目される。今年10月からTBS系のドラマ「この恋あたためますか」に出演中。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。 

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