裕也イズムを絶やしてなるものか!

[ 2020年11月19日 08:30 ]

新生ニューイヤーロックフェスティバルの成功に向け、神田明神で気勢をあげる(左から)Zeebra、鮎川誠、仲野茂、HIRO
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】2020年も残りわずかとなった。NHK紅白歌合戦の出場歌手も16日に発表され、年の瀬モードに突入。この季節になると思い出されるのがロック歌手の内田裕也さんだ。「ロックによる世界平和」「打倒紅白!」を掲げて1973年の大みそかに渋谷の西武劇場(現PARCO劇場)でコンサートを立ち上げ、以来、渋谷、浅草、銀座など場所を代えながらライフワークとして取り組んできた。それが「ニューイヤー・ロックフェスティバル」だ。

 そんな裕也さんも昨年3月17日に79歳で死去。昨年は「追悼」と銘打って音楽仲間たちが年またぎでオマージュを捧げたが、時の流れは速い。あれからまもなく1年になる。消滅か継続か。30年以上も取材を重ねてきた身としては気になってしようがなかったし、ましてやコロナ禍が拍車をかける。残された裕也ファミリーも難しい選択を迫られたが、下した決断は「継続」というもの。筆者にとってもうれしいニュースとなった。

 新生ニューイヤーはジョー山中さん、力也さん、桑名正博さんら先達の魂を継承しつつ、「47+1回目」と銘打って船出。東京・神田明神ホールを舞台に無観客での開催が正式に決まった。ライブの模様は世界に生配信される。

 プロデュースするのは音楽集団カイキゲッショクのリーダー、HIRO(52)だ。「裕也さんやジョーさんたちのイズムを胸にニューイヤー・ロックフェスティバルの灯火を必ず未来につなげていきます」と気合いも十分。妻の歌手AI(39)の出演も決まり、当日の“夫婦競演”実現へも期待が膨らむ。

 AIは「そんなロックじゃない私が大事なイベントに出ていいのかな?と思いましたが、“十分ロックだよ”と夫が言ってくれました。ありがたく出演させてもらいます」とスポニチにコメントを寄せ、HIROも「うちの嫁をはじめ、新顔にも注目してほしい」とボルテージを上げた。

 シーナ&ロケッツの鮎川誠(72)、伝説のパンクバンド・アナーキーの仲野茂(60)、カリスマラッパーZeebra(49)ら中核メンバーはいち早く神田明神を訪れて成功を祈願した。

 鮎川は博多弁で「俺たちが絶やすわけにはいかん。(2015年に逝った妻の)シーナもステージで待っとるけん」と熱弁。仲野は「最初のころはテレビ朝日が放送していて、あの南美希子さんが新人アナウンサー時代に取材に来ていた記憶がある。出演メンバーが怖そうなやつばかりで、大変だろうなと思った」と述懐しながら「(ニューイヤーが)終わっちゃったら、“なんだやんねえのかよ”という裕也さんの声が聞こえてきそうで…」と新たなスタートに思いもひとしおだ。

 Zeebraにはカイキゲッショクのメンバーとして、そしてヒップホップMCとしての出番も期待され、「歴史を守りながら進化もさせていく」の言葉は頼もしい。他に新月灯花、細美武士、RUEEDら出演アーティストが続々と発表されている。

 「未来につなげるため」と、HIROは200万円を目標にクラウドファンデングを立ち上げ、サポートを呼び掛けている。17日現在、支援金は120万円を超えている。

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2020年11月19日のニュース