「半沢直樹」 ラスボス・柄本明 徐々に見せる悪の顔「善良な役より面白い」

[ 2020年8月30日 05:30 ]

「半沢直樹」令和の倍返しだ!<下>

与党の幹事長・箕部役で出演している柄本明(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 TBS日曜劇場「半沢直樹」に与党の幹事長役で出演し、重厚な演技を見せている柄本明(71)。帝国航空の再建を巡るバトルで、主人公の銀行員・半沢直樹(堺雅人)の最大の敵となる。

 言葉を発さずとも、威圧感が伝わってくる政界のドンだ。「もっともらしい格好をすると、いくらか政治家らしく見えるようになったかな」と言ってスーツの襟を触り、照れくさそうに笑った。

 重要な役どころでの起用にも特別な思いはない。「またお仕事を頂いたんだなと。そういう仕事ですから。どんな仕事もそれぞれが特別で、それぞれが特別でないというか」。台本を覚えて、セリフを言う。それが「役者の仕事」だという。「そう言っちゃうと身もふたもないんだけど、でもそうなんだよね。どの仕事に向かう時も同じ姿勢ですよ」。平然と落ち着いて話す。

 演じる幹事長の箕部は、半沢とバトルを繰り広げる白井国交相(江口のりこ)の後見人。首相への土下座一つで、政界進出したばかりの白井を大臣に起用させた。言葉は少ないが、徐々に悪の顔を見せていく。半沢にとってのラスボスとなる。

 「悪い人ってのは面白い。ある種、欲望に負けていくわけだから。欲望のない人間なんていなくてね、その欲望は肥大化していくばかりで。悪っていうのは人間の持つ重要な要素ですよ。だから、善良な役よりは面白いですよ。ない頭を絞ってやってるワケだけど」

 淡々と語る柄本には、欲望があるように見えない。「残念ながら欲望のない人間はいないから」と否定する。「欲のないように見える人はいますよね。高田渡というフォーク歌手がいたけど、“ああ、渡みたいになりたいな”なんてよく思ってた。やっぱり欲がないように見えるから」

 とはいえ、作品を見てほしいという欲は「サラサラない」という。「“ここを見てもらいたい”とか、みっともなくないですか。でも“うまくできたな”なんて思う時に、自慢したいのは人間のさがじゃないですか。言わないにしても、どこかでにおうものでね。しょうがないですね、人間てものは愚かなもんですよ」。そう言うと、頭をかいて笑った。

 悪の親玉も、最後には半沢の倍返しに遭う。「どう倒されるのか。逆立ちぐらいするか。逆さはりつけとかね。さらし首は嫌だなあ…」。柄本が戦いをどう終わらせるのか、最後まで見逃せない。

 ◆柄本 明(えもと・あきら)1948年(昭23)11月3日生まれ、東京都出身の71歳。劇団東京乾電池の座長。04年に「座頭市」「花」などで毎日映画コンクール男優助演賞を受賞。11年に映画界への貢献が評価され紫綬褒章を受章。役者一家で知られ、息子の佑(33)、時生(30)も俳優として活躍。1メートル75、血液型B。

続きを表示

この記事のフォト

2020年8月30日のニュース