ピエール瀧容疑者出演「麻雀放浪記2020」 ノーカットで予定通り公開決定 東映が発表

[ 2019年3月20日 09:32 ]

映画「麻雀放浪記2020」公開に関する会見に出席した東映の多田憲之社長(左)と白石和彌監督
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 コカインを摂取したとして麻薬及び向精神薬取締法違反(使用)容疑で逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)が出演する映画「麻雀放浪記2020」(監督白石和彌)が予定通り4月5日にノーカットで公開されることが20日、発表された。配給会社の東映が東京・銀座の本社で記者会見を開き、明らかにした。

 瀧容疑者は同作で、戦争によって東京五輪が中止になった2020年の五輪組織委員会の元会長を演じている。主人公の坊や哲が生きる昭和の戦後と2020年の戦後を結ぶ重要な役どころ。そのため編集でカットはできず、4月5日の公開まで1カ月を切った段階で再撮影も不可能なため、配給の東映など製作委員会で対応を協議していた。

 多田社長は「正式に公開を決定したことを発表いたします」と発表。瀧容疑者の逮捕以降、「多くの時間をさき、協議をしてまいりました」とし、「中止または延期、編集したうえでの公開、ノーカットでの公開など議論をしましたが、弊社の判断で、4月5日にノーカットで予定どおり公開いたします」と説明。「あってはならない罪を犯した出演者の一人のために、公開を心待ちにしたお客さまに、すでに完成した作品を公開しないという選択肢は取らない」とし、「いろいろな方面から賛否両論はあると思いますが、配給を担当する当社の判断として、本作はノーカットで公開いたします」と続けた。

 なお、ポスターや、上映前に、逮捕された瀧容疑者が出演するという旨を明示するという。製作委員会という形での製作だったこともあり、何度も協議を重ねたといい、「(全社)合意ではいない」とし、あくまでも劇場公開についてノーカットでの公開を決めたという結論であると説明した。上映館数も現状では変化はないという。

 白石和彌監督は「(瀧容疑者は)僕も何度も一緒にご一緒していて、仲間はこういう犯罪を犯してしまったことは驚きましたし、容疑者に対して、抑えなれない憤りを感じました」と素直な思いを吐露。「編集だったり、出来上がった映画を再撮影することも覚悟しましたが、東映さんから『監督の気持ちはどうなんだ?』と聞かれ、『編集しない形で公開したいのがベストな形です』と話をしました」と経緯を説明。「禁止薬物には反対な立場」と強調しつつも「個人が犯した罪と作品そのものに罪はないんじゃないかという気持ちの中でそういう話をして、プロデューサーの苦労も聞いておりますが、こういう形で公開できたことを現状ではうれしく、ホッとしています」と思いを語った。

 瀧容疑者への思いを聞かれ、白石監督は「監督として大きく引き上げてくれたと思っていて、僕自身、彼が持っているキャラクターと男っぷりの良さに男ぼれをして、通算5本仕事をさせていただいた。ニュースの中でも(薬を)20代からやっていると聞いて、少なくとも仕事をしている時はそういう兆候はなかった。こういうことが起きたのは残念。瀧容疑者のスタッフ、ファンがどういう思いをしているのか、言葉にできない。今はバカヤロウ!としか言いようがない」と言葉を詰まらせ、「自分の罪を反省して、まずは薬を治療して人として歩いてほしい」と涙ぐんだ。

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