「麻雀放浪記2020」公開決定 昨今の“自粛ムード”に一石 東映社長「ちょっと行きすぎだなと」

[ 2019年3月20日 11:45 ]

映画「麻雀放浪記2020」公開に関する会見に出席した東映の多田憲之社長(左)と白石和彌監督
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 コカインを摂取したとして麻薬及び向精神薬取締法違反(使用)容疑で逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)が出演する映画「麻雀放浪記2020」(監督白石和彌)が予定通り4月5日にノーカットで劇場公開されることが20日、発表された。配給会社の東映が東京・銀座の本社で記者会見を開き、明らかにした。

 瀧容疑者は同作で、戦争によって東京五輪が中止になった2020年の五輪組織委員会の元会長を演じている。主人公の坊や哲が生きる昭和の戦後と2020年の戦後を結ぶ重要な役どころ。そのため編集でカットはできず、4月5日の公開まで1カ月を切った段階で再撮影も不可能なため、配給の東映など製作委員会で対応を協議していた。

 12日の瀧容疑者の逮捕後、多くの議論を重ね、製作委員会からも多くの意見が出たという。同作のエグゼクティブプロデューサー・紀伊宗之氏は「完全にコンセンサスが取れて、今回の上映が合意ということではございません。まだ各社どうするべきなのか、議論の最中。今回、配給を担当する東映の判断を理解をしていただいたというのが現状。劇場での公開に関して、ノーカットでやらせていただだくことをご理解いただいたという段階」とあくまでも劇場公開についてのみ決定した段階であると説明。

 東映の多田憲之社長は「配給を受け持つ弊社としては、やはり時間も迫っている中で早く結論を出したい。製作陣の思いを受けて、何とか完全な形で作品を提供するのが配給会社の責任であろうと、あえてノーカットで配給することを決断させていただきました」と配給会社として判断に至った経緯を説明し「劇場からのリアクションはまだ。これからどうリアクションがあるか」と語った。

 瀧容疑者の逮捕を巡り、映画「居眠り磐音」が撮り直しでの公開を決めたほか、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は代役を立ててすべて撮り直しをすることを決定、所属のテクノユニット「電気グルーヴ」の作品も出荷・配信停止となるなど、影響が多岐に及んでいる。一方で、この“自粛ムード”に異論を唱える著名人も多く、賛否両論が起こっている。

 多田社長は「いろいろな不祥事・事件があって、公開中止、延期、編集し直すとか、それぞれの映画会社、製作員会のご判断だと思います」と他社の判断に理解を示しつつも「東映としても私、個人としてもちょっと行きすぎだなという印象は持っていた。スタッフ、キャストが総力を挙げて、作ったものをそこでボツにしていいのかというのは甚だ疑問を持っておりました」と見解。「こういうことが東映にあるとは思っていなかった。当事者になった時に悩みました」と複雑な思いを明かしつつ、「一株式会社でコンプライアンスもあり、それでも映画会社の責任として“公開したいな”と。社員の皆さんに伝えて“やりましょう。皆さんを説得しましょう”という形になった」と続けた。

 今回の判断が「他社の判断に対する非難になっちゃうかもしれない」と複雑な胸中を明かしつつも、「(製作)委員会、当社でも話し合った中で、(公開の判断を)マニュアル的にやるのがいいのかということ。社内からもおかしいという声もあるかもしれないが、それは真摯に説得していく。少し株価が落ちることも覚悟しております」と話した。

 同作の白石和彌監督は「基本的には作品に罪はないという姿勢でいいと思っている」としたうえで、「何か決まっているかのような社会の流れの中で、蓋をしてしまうのはよくないんじゃないかと。そこは作品それぞれで、上映できないというのがあくまで特例であってほしいというのが作り手としての願い」と作り手としての思いを強調。さらに“自粛ムード”についても「過去作まですべて見えなくする、選択の余地がないようにするのはさすがにどうなんだろうというのはありました。それはもう世に作品を放って、作品も残っている状態であれば、判断はユーザーの方の判断に委ねるべきだと思う」と私見。今回も上映前に瀧容疑者が出演しているへのお断りのメッセージをスクリーン、ポスターなどに明示するが、「オンデマンドや配信など、最初の一枚絵のところに、注意喚起はもしかしたらあってもいいのかなと思う」としつつ「過去作まで一律でなくすというのは作った文化にとっての損失。それはそろそろ、ガイドラインなどを作ってもいいのかなと思う」と語った。

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