羽生結弦 異次元の人気の理由…専門家が探る“4つの魅力”

[ 2018年2月18日 13:20 ]

 平昌五輪男子フィギュアスケートで、五輪男子66年ぶりの2連覇を達成した羽生結弦(23=ANA)。ケガを乗り越えた奇跡の復活劇で、羽生の輝きはどう増したのか。4つの角度から探った。

 【(1)漫画】「少女漫画の男性キャラのよう」と言われる羽生。少女漫画に詳しい明大国際日本学部の藤本由香里教授(漫画文化論)は「それは羽生選手の持つ永遠の少年性にあるかもしれない」と話す。漫画史上最高傑作の一つ「ポーの一族」の主人公エドガーとアランのように「現実を超えたもう一つの世界に私たちを連れて行ってくれる」と分析。「少女漫画でバレエは古典的なテーマだが、彼の演技は伝説的なバレエダンサーの印象と重なる」とした。羽生が達した境地を「この世とこの世ならぬ次元の境にいるというか、演技を見ていると魂が浄化される感じがする」と述べた。

 【(2)萌え】「萌えの科学」をテーマに研究する金沢工業大の山田真司教授(芸術工学)は「きゃしゃな体で少年のような顔立ちだが、容易に近づけない。萌えの2つの要素を兼ね備えている」とみている。「萌え」の正体について「対象に近づきたい気持ちと自分のものにしてはいけないと制約する心の葛藤を楽しむこと」と説明。今回は「ギャップ萌え」が顕著だといい、「ツンデレのツンは緊張、デレは緩和。ケガがどこまで回復しているかハラハラさせ、強気の発言で自分のハードルを上げてきた。緊張が大きかっただけに試合後の緩和との落差が強かった」と分析した。

 【(3)出版】平昌五輪の期間中ということもあり、全国の書店やコンビニには羽生を特集した雑誌や書籍が並ぶ。「家庭画報」(世界文化社)3月号も羽生を大特集。完売店が相次ぎ、前年同号比1・5倍の売れ行き(7日時点)という。羽生はSNSをやっていないため、ファンが写真やメッセージに触れる機会は限られる。同誌編集部は「特に昨年11月にケガして以降、五輪直前までメディアに姿を見せることはなかったので渇望感は非常に大きかったと思う」とコメント。羽生が発する言葉の力について「揺るぎない意志が宿っている」とした。

 【(4)教育】】「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹氏(71)は「他人と競うのではなく自分と競うことで無限に進化できることを子供たちにも証明してくれた」と、ケガを乗り越えて獲得した金メダルの価値を称賛した。自身も熱烈なファン。この日は香川県高松市で講演があり生中継は見られなかったが、終了後に試合の映像を確認。「妖精が滑っているようで美しかった」と感無量。14年ソチ五輪以降、道徳や英語の教科書に羽生の話が掲載されたことはあるが「自分との闘いに勝った物語として教科書に載せる価値はある」と語った。

続きを表示

2018年2月18日のニュース