【虎番リポート】阪神・坂本の極上フレーミング技術の土台は「左膝」 特殊グラブで何度も練習

[ 2023年5月2日 07:30 ]

4月29日、ヤクルト戦で捕手を務める坂本(左)
Photo By スポニチ

 初対面は突然やってきた。3月6日の侍ジャパンと阪神の強化試合。京セラドームのベンチ裏で、坂本はダルビッシュに遭遇した。「阪神の坂本です」。3年前のインタビュー企画で、バッテリーを組んでみたい捕手として右腕に名前を挙げられた話は有名だ。球界屈指のフレーミング技術を評価された。

 「前に坂本君のこと話したよ」。覚えてくれていたダルビッシュに、坂本はその場で助言を求めた。「もう教えることないよ」と返されながらも、メジャー捕手が取り組む練習の動画提供をその場で約束してもらった。

 フレーミングとは球威や打者近くでの変化にもミットが流されず捕球し、際どいコースも審判にストライクと判定してもらう技術。現代野球では捕手の必須能力となった技術を坂本が磨き始めたのはプロ入り後だ。13年~21年に在籍した山田バッテリーコーチの指導のもと、捕球面が平らな特殊なグラブを車のワイパーのように動かし左右、高低、あらゆるボールを外側から包み込むようにホームベース付近に落とす練習を繰り返した。「ボールを全部、外から中に入れていく作業をしていました」。地道な反復が、極上の技術の土台をつくり上げた。

 フレーミングにもつながる「捕手・坂本」の土台は「左膝」にある。投手がリリースした瞬間、地面に左膝を着く。「左膝を着いていないと(捕球の)邪魔になるし、引っかかる」。例えば、左投手のスライダーを捕手側から見て左下(右打者の内角低め)のゾーンで捕球する際、左膝が接地していないとミットを持った左腕と接触してフレーミングに影響する可能性がある。送球にもプラスに作用するといい「膝を着いた反動で二塁に投げられる。“走者がいる時は膝を着くな”と言われますが、僕は投げられる」と明かす。

 一連の動きは、昨年まで指導を受けた藤井バッテリーコーチから教わった。「捕手のことは、全て藤井さんに教えてもらった。サイズ感が僕と一緒で、言ってることの動きが分かりやすかった」。今季、スタメンマスク時は7戦7勝。フレーミングも生かした巧みなリードが光る。努力の積み重ねと指導者から受け継いだ技術の結晶が躍動を支えている。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月2日のニュース