【スポニチスカウト部(13)】日本製紙石巻・秋田 最速152キロ右腕は硬軟自在の投球術

[ 2023年5月2日 06:00 ]

昨年の都市対抗でJR東日本東北の補強選手としてと出場した日本製紙石巻・秋田

 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第13回は日本製紙石巻の最速152キロ右腕・秋田稜吾投手(23)。東北の剛腕が、家族の夢も背負ってプロへの扉を開いてみせる。 ドラフト速報

 ようやくこの時が来た。「大学でもプロ志望を出そうか迷ったが、社会人へ進んで良かった。この2年で成長できたので、なんとしても今年、プロへ行きたい」。最速152キロを誇る秋田は、強い決意を持ってドラフト解禁となる社会人2年目を過ごしている。

 幼い頃から野球エリートだった。中学時代は軟式のクラブチーム「岐阜フェニックス」に所属し、3年春には全国3位を経験。高校は名門・東海大相模(神奈川)で技術を磨き、甲子園出場こそなかったが3年春には背番号「1」も背負った。「どのカテゴリーでもいろいろなことを学べた」。地元・岐阜の中部学院大でも1年秋から先発、抑えとして活躍し150キロも計測。プロからも注目されたが「まだ技術が足りないと思い社会人を選んだ」と、卒業後は社会人への道を選択した。

 選択に間違いはなかった。1年目は体づくりに力を入れ、最速は2キロ更新し152キロをマーク。大学までは空振りが取れていた変化球も「社会人にはカットされ、球数が増えるようになった」との経験から、内野ゴロを打たせるためにツーシームを習得。投球の幅が広がったことで「全て力を入れて投げる投球から、場面によっては内野ゴロを打たせるような投球ができるようになった」と、手応えを感じている。

 同じ東北で切磋琢磨(せっさたくま)するライバルの存在も大きい。「お互いどこかで意識はしている」と語る存在が、TDKの権田琉成で同じくドラフト候補に挙がる本格派右腕。「向こうは代表にも選ばれたりしている。少しでも追いつければ」。普段から仲も良く「一緒にプロで活躍できれば」と願っている。

 昨年は社会人1年目ながらJR東日本東北の補強選手として都市対抗のマウンドも経験した。「今年はチームを2大大会(都市対抗、日本選手権)に導く活躍をしたい。そうすれば結果もついてくると思う」。まずはチームのエースとしての役割を全うしてみせる。(村井 樹)

 ☆球歴 長森南小2年時に野球を始めた。東海大相模では1年秋からベンチ入り、中部学院大では1年から先発、抑えとして活躍。昨年はJR東日本東北の補強選手として都市対抗に出場した。憧れの選手は巨人・菅野。

 ≪4兄弟全員野球選手/秋田家の悲願実現へ≫秋田のプロ入りは家族の悲願でもある。長男・千一郎さん(28)は、140キロ台後半の左腕として活躍し、社会人のJR東海までプレーしたがプロ入りはかなわず。次男・勇介さん(26)は東海大菅生から国際武道大でプレーした。四男・和佳(17)は岐阜城北3年で、監督でもある父・和哉さん(55)とともに甲子園出場を目指している。まさに野球一家に生まれた三男の秋田。「家族みんなの夢なのでなんとしてもプロへ入りたい」と強い思いを口にした。父も「今年がチャンスだと思うので指名してもらえれば」と願っている。
 

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