中畑清氏 巨人・秋広、生え抜きスター候補 先発6戦で勢いもたらした5勝1敗

[ 2023年5月2日 05:00 ]

巨人・秋広
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 【キヨシスタイル】巨人は4月を終え、11勝14敗で5位。苦しいスタートになったけど、明るい光は見えている。将来は間違いなく主軸を打つ若手の出現。そう私の23年イチ推し、秋広だ。

 2メートルの長身。ひと目で分かる特徴があってさ。入団3年目の20歳になって体ができてきた。どっしりした構え。肩より上に来るグリップの位置は大谷(エンゼルス)に似ている。

 一番いいのはタイミング、間の取り方。150キロ超えの速球に振り負けないし、追い込まれても自分からボールを追いかけたりしない。変化球に崩されることもなく、静かに見極められる。バットマンとして大成するのに必要な要素を持っているんだ。

 「勝ち運」を兼ね備えているっていうのも魅力だよね。4月22日のヤクルト戦で初めてスタメンに名前を連ねると、先発出場した6試合全てでヒットを打ち、19打数8安打、打率・421。この6試合はチームも5勝1敗なんだ。

 背番号55の活躍にベテランも便乗してさ。相乗効果がチームの空気を変えている。29日の広島戦が典型的。秋広が7回に1点差に迫るプロ初本塁打を放ち、9回中田翔の逆転サヨナラ2ランを呼び込んだんだよね。

 外野守備もしっかりしている。最近の巨人では松井、高橋由、阿部、坂本、岡本和の流れをくむ生え抜きのスター候補。相手の先発投手が右であろうが左であろうが、外すことなく、今シーズン使い続けてほしい。

 今の秋広に必要なのは、1軍の試合に出続けなければ身につかない体力。壁にぶち当たることもあるかもしれないが、将来への投資と思えば我慢できる。それだけスケールの大きい選手だ。

 16勝7敗で2位に3ゲーム差をつける首位DeNAは投打のバランスが最高。その上にもうすぐサイ・ヤング賞投手のバウアーが加わり、オースティンも戻ってくる。阪神は開幕から25回無失点の村上という新戦力がチームに活気を与えている。

 そんな上位球団に食らいついていくために、巨人は若い力がもたらした勢いを大切にしないとね。秋広は毎試合スタメンで見たい。切にそう願っている。(本紙評論家・中畑 清)

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