【スポニチ潜入(3)東邦・宮国凌空投手】球質にこだわり「真っすぐの強さ」追い求める最速149キロ右腕

[ 2023年5月2日 09:00 ]

ボールを手に笑顔を見せる東邦・宮国 (撮影・後藤 大輝)

 アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」において取り上げる企画「スポニチ潜入」第3回は今春選抜にも出場した本格派右腕、東邦(愛知)・宮国凌空投手(17)。直球は150キロ近い球速を誇るが、好不調の波に左右されないように球質、変化球にも磨きをかけ「勝てる投手」を理想に掲げるクレバーさが持ち味。選抜終了後はフォーム改造に着手しており、夏の甲子園での本領発揮を目指す。

 宮国はリリースへと移行する前にグラブをはめた左手を大きく、高く突き上げる。その少しクセのある独特なフォームから、力強い直球と多彩な変化球を繰り出し、打者を手玉に取る投球が身上だ。

 「個人的には真っすぐにこだわっているけど、チームが求めているのは勝てる投手だと思う。真っすぐにこだわりつつ、勝てる投手を目指しています」

 個人目標は二の次。昨年までの最速は149キロで、今年の目標には「152キロ」を掲げて昨年末の約1カ月間で腹筋、背筋、スクワットを1日当たり各1000回こなす体幹強化にも励んだ。それでもチームの勝敗を背負うエースとして、球速以上に追い求めるものがある。球質だ。「球速が出ない日もある。そういう時に質のいい球を投げられるか。球速にもこだわっているけど、質にもこだわっています」。好不調の波にとらわれないよう「真っすぐの強さ」に磨きをかけている。

 並行して、“引き出し”も増やした。「右肩をケガしていた」という2年秋は「逆に変化球を磨いて変化球でカウントを整えつつ、直球を決め球に」と新境地を模索。ツーシーム、スライダー、カーブ、フォーク、スプリットと多彩な球種を巧みに駆使した投球を展開しチームを東海大会優勝に導いた。「秋は自分の調子に関係なくチームを勝たせてくれた」と山田祐輔監督。「勝てる投手」としての役割を果たした。

 左右の握力45キロ、50メートル走6秒3…数値的に突出したものはない。ウエートトレーニングも「あまりしない」。それでも中学時代から最速135キロ。「球にうまく力を伝えられれば、どんな投手でも球速は出てくると思います」と言う。

 前年秋の故障の影響で1月までキャッチボールができず、ほぼ、ぶっつけ本番で臨んだ今春選抜。それでも初戦の鳥取城北(鳥取)戦で6回3失点、3回戦の報徳学園(兵庫)戦でも5回4失点と粘り腰を発揮した。もちろん3回戦敗退という結果は悔しい。それでも、しっかりと収穫も手にした。「スプリットに一番手応えを感じました。甲子園を通して自信のあるボールになったと思います」。2年秋から投げ始めたスプリットは、全国舞台での戦いをへて主要球種の一つとなった。

 選抜後は、投手を始めた時からほとんど手を加えたことがなかった投球フォームの改造にも着手した。選抜までは高く上げていた左足をほとんど上げないようにし、腕を前で走らせることを意識した新フォームを構築。それでも直球はコンスタントに140キロ台を計測しており、球威に衰えはない。「勝てる投手」として、さらなる高みを見据える宮国。夏こそは、万全の状態で甲子園のマウンドに立つ。

 ◇宮国 凌空(みやぐに・りく)2005年(平17)8月7日生まれ、沖縄県宜野湾市出身の17歳。小学1年に宜野湾ベースボールキッズで野球を始めて投手。中学では宜野湾ポニーズ。東邦では1年秋から背番号1。2年秋の東海大会で全試合に先発登板して優勝に貢献し、明治神宮大会に出場。50メートル走6秒3、遠投110メートル。1メートル77、80キロ。右投げ右打ち。

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