「不快」阪神の選手も首をかしげる“あの合唱”がなくならない…「7回になる度に嫌な思い」

[ 2023年5月2日 12:00 ]

神宮で記者に囲まれながら引き揚げる阪神・梅野(中央)
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 神宮球場での試合後取材はベンチから出てくる選手の横に付き、歩きながら話を聞く。これはコロナ下では消えていた取材風景。“日常”が戻ってきたことを先のヤクルト3連戦でも実感した。

 選手はグラウンドを歩くため、スタンドからのファンの声をじかに受ける。阪神は2勝1敗とカード勝ち越し。29日は開幕から25イニング連続無失点で2勝目を上げた村上の横を歩いたが、背番号41には「村上最高!」「次も頼むぞ~」などの声援が飛び、3年目右腕はその1つ1つに丁寧に頭を下げながら帰路についていた。あらためて、選手にとって声援というものがどれだけ大きいものかを実感する時間でもあった。

 だが一方で、全選手が球場から引き上げた後、スタンドの一部から聞こえてきたのは当該の対戦相手のヤクルトではない球団を揶揄するような“合唱”。それは球場でこれまでに何度も聞いたことのある「あのコール」だった。加えてこの3連戦中、ヤクルトの7回の攻撃前に流れる「東京音頭」に合わせ、同じようなかけ声もあったという。

 教えてくれたのはブルペンの一員の、ある投手だった。「あれは気持ち良くないし、不快と言ってもいい。自分だけじゃなく他の投手、ブルペンにいるスタッフもみんなそう思っています」。神宮球場のブルペンは屋外の三塁ファールゾーンにあるため、選手にもスタンドの声が届く。

 今、阪神タイガースの公式ツイッターのトップには【重要】と題して選手を誹謗(ひぼう)中傷するようなヤジや侮辱的な替え歌を注意する4月14日のツイートが固定されている。

 話を聞いたその選手は「点が入ったり、7回になる度に嫌な思いをするのはおかしい。もちろん一部の人だと思いますが、ああいう替え歌はやめて欲しい」と願う。日々受けている声援に無形の力を感じているからこそ、声を合わせるタイミングとフレーズを間違えて欲しくない。(遠藤 礼)

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