イチロー氏「女子高生たちのモチベーションになったら…」思い込めた130球完投

[ 2022年11月4日 05:20 ]

<KOBE CHIBEN・高校野球女子選抜>高校女子選抜と記念撮影をするイチロー(左)と松坂ら両チームの選手たち(撮影・篠原 岳夫)
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 ユニホームは汗でびっしょりだった。9回、130球目。イチロー氏は125キロの直球で最後の打者を空振り三振に斬った。打撃こそ4打数無安打に終わったが、9回を2安打1失点、毎回の14奪三振で完投勝利。思い出深い東京ドームで、大きな拍手に包まれた。

 直球の最速は134キロを記録。スライダーに加え、ツーシーム、スプリットも駆使した。初回に適時三塁打を浴びたが、その後は力投。7―1で勝利したヒーローインタビューで「19年の(現役)引退の試合が東京ドーム。こういう形で東京ドームに帰ってこられて、感無量」と語る一方、10月22日に49歳となったばかりで「(体は)ボロボロです」と言って場内を笑わせた。

 イチロー氏は神戸で行われた昨年12月の対戦でも17奪三振の完封で1―0の勝利に導いたが「生まれて初めて右肩をぶっ壊した」と言う。4月15日にはマリナーズの本拠地開幕戦で始球式に登板。そこで再び肩を痛めた。その後も一進一退が続き全力投球が可能になったのは9月中旬。大事な決戦に間に合わせ「女子高生たちの大きなモチベーションになったらいい。とても意義があることになるんじゃないかと信じて戦った」と胸を張った。

 今年はファンの入場も解禁した。試合後には約1時間にわたり相手選手の質問に丁寧に答え、全員にサインして交流も深めた。「この試みは僕自身もアスリートとしての限界を見るいいチャンス」と右肩を何度もさすったイチロー氏は「絶対にケガはできない。その切迫感というのは現役当時のそれとは全く別の種類のもの」と言う。その横顔は、現役当時と何ら変わりはない。(笹田幸嗣通信員)

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2022年11月4日のニュース