150日ぶり2勝目の広島・玉村 復調の要因は“4キロのダンベル”斬新なトレーニングで可動域広がった

[ 2022年9月5日 04:45 ]

セ・リーグ   広島7―0DeNA ( 2022年9月4日    マツダ )

<広・D>力投する先発の玉村(撮影・椎名 航)
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 広島・玉村昇悟投手(21)が4日のDeNA戦で150日ぶりの今季2勝目をつかんだ。6回無失点の好投に加え、打撃でも4回に決勝の内野安打。球団記録に並ぶ3試合連続零封に貢献した。3位・阪神に3連敗した直後に本拠地で同一カード3連勝。再び2ゲーム差に近づき、逆転でのクライマックスシリーズ(CS)進出へ勢いを取り戻した。

 玉村は4月7日の巨人戦以来、白星から遠ざかっていた。それでも、今回は登板前から自信があった。

 「緩急で揺さぶれたらいいなと思っていた。今日は打者の反応を見ながら投げられた」

 好投の予感は、前回の登板中につかんでいた。「試合途中から左腕が自由に動く感覚が出た」。故障や新型コロナ感染を経て、頭で思い描く軌道で腕を動かせずに悩んでいた。前回8月26日の巨人戦では初回に3失点。それが突然、2回以降は本来の感覚が戻ったと言う。「腕が体と連動せず、腕だけが単独で動くようになった」。この手応えを忘れず、今回の登板に臨んだ。

 3番・佐野と4番・牧をともに3打席無安打に抑えた。初回2死二塁では牧をスライダーで見逃し三振、3回2死一、三塁では佐野を1ボールからのシュートで一直に仕留めた。腕を思い通りに動かせたからこそ、勝負どころで思い切って腕を振れた。

 「打ち出したら勢いに乗るチーム。クリーンアップに仕事をさせないために、何とか粘ろうと思っていた」

 左腕を思いのままに動かせるかは、今季のテーマの一つだった。春先に陥った不振の原因は「テイクバックが小さくなっていた」。左腕の可動域を広げるために、斬新なトレーニングを導入。左手に持った4キロのダンベルをテイクバックの軌道を描くようにして一気に背中方向に振り上げた。無理やりにでも体に刺激を与えたことで可動域が広がり、復調につながったと言う。

 バットを持てば、3回先頭で左前打、4回2死満塁では当たり損ないのゴロが遊撃へ。「ゴロが転がったら、あとは神頼み」と全力疾走し、先制の適時内野安打をマークした。

 4回途中には、リリース後に勢い余って左指を爪で引っかくアクシデントも乗り越えた。「ずっと勝てていなかった。少しでもチームの役に立ちたいです」。チームは3試合連続の完封勝利。CS進出へ、奇跡の始まりなのかもしれない。(河合 洋介)

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