8月のソフトバンクを太く支えた「親方」デスパイネ

[ 2022年9月5日 07:30 ]

ソフトバンク・デスパイネ
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 高校球児のような丸刈り頭の巨体助っ人が、8月のソフトバンクを太く支えた。アルフレド・デスパイネ外野手(36)が同月の全26試合にDHで出場。リーグ3位の月間打率・327、2本塁打を含む17打点。真夏の皆勤賞と健闘を称えられ、9月3日の西武戦前に地方局から表彰された。ワンピース姿の女性アナウンサーから記念品を受け取ると、笑顔かつ小走りでベンチへと戻っていった。

 酷暑の中、打球も見た目もスカッとしていた。「キューバの方が暑いから日本の夏には慣れてるよ」とは言いつつもさりげなく短髪にし対策を敷いていた。6月9日に母国の1歳上の先輩グラシアルにバリカンで丸刈り頭にしてもらったことを明かした。両者がベンチ内で並べば夏の予選前に気合いを入れた高校球児のよう。おそらく、9~12ミリと短めを常時キープしており、見ていても清々しい。

 ただバットは長く持って、ぶん回し、かっ飛ばし続けた。8月5日楽天、同21日の日本ハム戦。アーチを描いた試合は、チームも勝った。不敗弾は9月に入っても継続中で8月表彰を受けた同3日西武戦では同点の3回に決勝2ラン。王貞治球団会長が現役時に本塁打世界新記録を樹立した「ホームラン記念日」に陽気な右の大砲も目立った。

 1メートル75、95キロのがっちり体型のカリビアンを藤本監督は「親方」と呼ぶ。モイネロ、グラシアルの同門に加え、MLBから初来日したベネズエランの新弟子ガルビスの精神的支柱にもなっている。指揮官は証言する。「特にデスパイネがトップに立って、ガルビスを含め3人で打撃対談というか“お前、もっとこうやった方がいい”と言ってくれている」。稽古総見中のアドバイスもあり、ガルビスは8月28日の日本ハム戦から出場4試合連続で安打中。残暑の時期から、いい相乗効果も生まれてきている。

 8月は主将の柳田らコロナ陽性者が続出し緊急事態が続いた。そんな主力不在の中でデスパイネは4番打者で13試合、5番で13試合、中軸を担ってきた。9月に入っても不動の中軸としてデンと構える。ロッテからソフトバンクに移籍して6年目。加入初年度の17年と20年にリーグ優勝の味は知っているが3度目の歓喜を、かなり欲しているように映る。(記者コラム・井上 満夫)

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2022年9月5日のニュース