エンゼルス・大谷 劇勝貢献8回1失点 161キロの変化球ツーシームに打者もぼう然

[ 2022年9月5日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス2―1アストロズ ( 2022年9月3日    アナハイム )

<エンゼルス・アストロズ>アストロズ打線を封じる大谷(撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

 エンゼルスの大谷翔平投手(28)が3日(日本時間4日)、アストロズ戦に「3番・投手兼DH」で出場。勝敗はつかなかったが、今季最多の111球を投げ8回6安打1失点の快投で、チームのサヨナラ勝利に貢献した。際立ったのは新球ツーシームで、横方向に最大21インチ(約53.3センチ)変化し、直球よりも速い最速100.6マイル(約161.9キロ)を計測。自身初の規定投球回到達への秘密兵器が、威力を発揮した。

 よほどの手応えだったのだろう。2回をパーフェクトに抑えた大谷は、ベンチでフィル・ネビン監督代行に歩み寄り日本語で、こう言った。「ツーシームがえぐい!」。それほどの切れ味だった。

 8月15日のマリナーズ戦から「楽しく投げるために必要」と取り入れた新球。3回、7番のマティジェビッチから、カーブでメジャー通算400個目の三振を奪った直後だ。8番のマコーミックを、99・7マイル(約160・4キロ)のツーシームで見逃し三振。鋭く沈む160キロ超えの変化に、マコーミックは反応できなかった。

 大谷の新球はこの日、最速100・6マイル(約161・9キロ)を計測。データサイト「ベースボール・サバント」では、最大曲がり幅はホームベースの横幅17インチ(約43・2センチ)を上回る21インチ(53・3センチ)で、最大落差28インチ(約71・1センチ)だった。球数、割合とも今季最多18球&16%。「比較的コマンドも良かったし、動きも良かった」と手応え十分だった。

 MLBではツーシームなど「シンキング・ファストボール」を「シンカー」と表現。「ピッチングニンジャ」として知られる投球分析家ロブ・フリードマン氏は、ツイッターで動画を引用し「Wicked(えげつない、恐ろしい)Sinker」と投稿。8月31日のヤンキース戦で、右腕ホームズの100マイルの同球種に大谷が驚いた表情が話題となったが、3日後に投手で同じ状況をつくった。マコーミックは「シンカーのせいで、これまでより攻略がタフになった」と頭を抱えた。

 援護に恵まれず12勝目は逃したが、チームはサヨナラ勝利。ネビン監督代行は「私の中では今季最高の登板の一つ。別次元の投球にたどり着いた」と言った。自身メジャー最多の136投球回で、現時点の規定投球回に到達。シーズン規定投球回は、あと26イニングだ。

 通算403奪三振&123本塁打で、ベーブ・ルース以来の「400奪三振&100本塁打」を達成。次回登板は中6日で10日(日本時間11日)、再びア軍と対戦する。「予定通りにしっかりとコンディションを整えて、毎試合投げられるというのが一番の目標」。残り4登板で1試合平均6回2/3以上なら、誰も成し遂げたことがない史上初の「投打ダブル規定」に届く。(笹田 幸嗣通信員)

 ▽シンカー メジャーリーグで「Sinker」は「シンキング・ファストボール」の略で速球系の「ツーシーム」で特に沈む軌道の球を指す。一方、日本ではチェンジアップに近い、やや球速が遅く右投手なら右打者、左投手なら左打者の方向へ沈む球全般を指すため、「シンカー」の定義が異なる。日本プロ野球では山田久志、潮崎哲也、高津臣吾らの決め球で有名。またDeNA・山崎が「ツーシーム」と呼んでいる決め球も落差が大きいため、日本流では「シンカー」に近い球になる。大谷自身もこの球種について「ツーシーム」とも「シンカー」とも表現している。

続きを表示

2022年9月5日のニュース