智弁和歌山が大阪桐蔭破り16年ぶり春の近畿王者 プロ注目の右腕・武元「強い気持ちだけでいった」

[ 2022年5月30日 05:30 ]

令和4年度春季近畿地区高校野球大会 決勝   智弁和歌山3-2大阪桐蔭 ( 2022年5月29日    紀三井寺 )

<高校野球春季近畿大会決勝><大阪桐蔭・智弁和歌山>優勝を決め、捕手とハイタッチを交わす智弁和歌山・武元(撮影・岸 良祐)
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 昨夏選手権優勝の智弁和歌山(和歌山)が決勝で今春選抜優勝の大阪桐蔭(大阪)を破り、16年ぶり3度目の優勝を飾った。山口滉起(3年)の先頭打者本塁打などで初回に3点を奪い、武元一輝(3年)ら4投手の継投で逃げきり。大阪桐蔭は昨秋からの公式戦連勝が29で止まった。

 無敗の絶対王者を止めたのは、昨夏の王者だった。智弁和歌山が1点差を死守して春の近畿頂点に君臨。3―2の6回から救援した今秋ドラフト候補右腕、武元一輝が4回3安打無失点の好投で締めくくった。

 「自分たちで止めてやろう…という声が練習から上がっていた。絶対抑えたるんや、という強い気持ちだけでいきました」

 勢いをつけたのは1番左翼の山口滉起だ。前田の3球目スライダーを「反応で打ちました」と左越えの先頭打者弾。さらに2死満塁から敵失で2点を得て3点を先行した。

 5回までは3投手で2失点にとどめてリードを保ち、準備していた武元は奮い立った。バトンを渡され、1球目に最速145キロを計測。1球ごとに雄たけびを上げる気迫全開の投球で本塁を踏ませず、最後は左飛に抑えて豪快に拳を突き上げた。

 「3人にいい流れで持ってきてもらったからこそ」と仲間に感謝し、「夏の連覇をずっと目標にしてやってきているので、そのために取り組んでいきたいと思う」と余韻に浸ることなく前を向いた。現世代で唯一、大阪桐蔭を倒し、深まる自信。全国で1校だけ挑戦権を持つ夏連覇の快挙へ弾みをつけた。(北野 将市)

 ◇武元 一輝(たけもと・いつき)2004年(平16)4月9日生まれ、大阪市出身の18歳。小4から野球を始め、田辺中では藤井寺ボーイズでプレー。智弁和歌山では1年夏からベンチ入り。最速148キロ。1メートル87、88キロ。右投げ左打ち。

《大阪桐蔭は2回以降無失点も、前田は悔しい完投負け》
 大阪桐蔭は昨秋からの公式戦連勝が29で止まり、今秋ドラフト候補に挙がる捕手の松尾汐恩は「この負けを糧に夏、より強くなって帰ってきたいと思う」と前を向いた。

 初回の守りが全てだった。1―0の初回2死満塁で遊撃手の鈴木塁がワンプレーで2失策。捕球ミスで打者走者を生かし、二塁送球がそれて二塁走者まで生還させた。2年生左腕の前田悠伍は2回以降無失点で完投しても登板日の敗戦は入学後の公式戦で初めて。「悔しかった。自分が(連勝を)止めてしまったと言っても過言ではない」と責任を背負った。

 98年の横浜以来の高校4冠(同年横浜は春の関東大会も優勝して新チーム結成後は無敗の44連勝)への挑戦は続き、初体験の苦みが絶対王者を一回りも、二回りも強くする。

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