【阪神・青柳-亀山氏対談(下)】“青柳ばりワンバウンドスロー”「どんどんマネしてほしい」

[ 2022年2月19日 05:30 ]

亀山氏(左)と対談する青柳 (撮影・平嶋 理子) 
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 ※対談(上)から続く

 亀山 ズバリ年が明けてからは開幕という意識はある?

 青柳 開幕はずっと意識しています。やっぱりやりたいというのが僕の中であるので。

 亀山 一番しんどいローテーションになることも分かっているじゃない。そこを意識しつつ15勝も…となると、相当、自分でハードルを上げることになるけど。

 青柳 やっぱり3年間ローテを守ったというのが自信にもなっていますし。僕が入団したときは能見さんがいて、球児(藤川)さんがいて、聡文(高橋)さんがいて。ベテランの方が多かったんですけど、今のチーム的にベテランがいない。野手だったら、孝介(福留)さんがいて、鳥(鳥谷)さんがいて、助言をもらったりしていたんですけど、今年に関しては(日本人投手で)西勇さんが最年長。僕は7年目ですけど、そろそろ下の世代も見ないといけない年代にもなってきている。そういう部分で精神的な成長はありますし、自分がそうならなくてはいけない気持ちもあります。

 亀山 昭和の時代だとドラフト1位、2位が脚光を浴びる。そこが主力で、あとは育ってくれば…というイメージだった。今は青柳君が5位で岩崎投手も6位でしょ。下だからとか、あまり関係ない時代が来ているのかなと。トータルのバランスが良いとかではなくて、とがった武器を持っているのかなと感じるんだけど。

 青柳 トータル的にすごかったら、もちろん上位で入りますし、最近だったら伊藤将司なんかはいい投手で、期待されて入っている。でも下位指名だったら僕とか岩崎さんもそうですけど、一芸がある選手は強かったりする。下位だろうが、自分の秀でたもので結果を出せれば、こうなってくるのではないかと。

 亀山 梅野4位、青柳5位、岩崎6位。これで侍ジャパンだから。プレッシャーなどもあったと思うけど、誇りにもなる。建山投手コーチが終わった後“悪いことした。すごく大変なところで投げさせてしまった”と言っていた。でも自信になったのでは。

 青柳 僕自身、野球を始めてから代表とか入ったことがなかったので、1発目が五輪という大舞台ですごく緊張感もありました。初の国際大会、リリーフ…僕の中でいい経験になりました。“すごいところでいかせてしまった”と言わせてしまったのは結果が出なかったのが悪かったと思うので。逆にあんなにいいところで使ってもらえたのが、僕の中ではすごくありがたいなと。

 亀山 あと、プロ野球選手では珍しいと思うんだけど、迷わずにどの球場でも一塁にワンバウンドで投げる。人工芝と土だったらグラウンドのコンディションも違うから難しいんじゃない?

 青柳 僕がへたくそなので。本当はノーバウンドで投げればいいんですけど、ローテで回る前に、自分の暴投でピンチを広げて負けた試合とか、チームに迷惑をかけた試合が多かった。2軍にいる時、安藤コーチがワンバウンドスローとかを、僕だけではなく投手全員にやらせていて、そういうアウトの取り方もあるよと教えてもらって。1軍で投げたい、勝ちたいと思った時に格好はどうでもいいと。格好悪くてもいいから、アウトを取る手段としてワンバウンドスローを覚えたんですけど。阪神で良かったのは、甲子園も鳴尾浜も土のグラウンドということ。土でできれば人工芝は絶対できるんです。人工芝のほうが簡単。イレギュラーがないので。

 亀山 ショートスローが苦手な人は多い。プロの野手は迷わずにワンバウンドで投げたりするよね。でもアマチュアほど無理して投げる。13勝したプロの投手が堂々とやれば自信がない人に勇気を与えると思う。

 青柳 うれしかったのは、大学で“プロ注目”と出ていた投手が“阪神・青柳ばりのワンバウンドスロー”と出ていて。ゴロが3、4回来たけど、全部ワンバウンドで投げたと記事に載っていた。いくらホームにすごい球を投げていても、一塁に投げられない人ってドラフトにかからない可能性が高い。でも、そういう人でもアウトを取れたら、本職は打者を抑えることなので、そっちに集中できるようになると思う。どんどんマネしてほしい。ミエを張ってノーバウンドで投げて、暴投してチームに迷惑をかける方が恥ずかしいので。

 亀山 今年は中心選手として一番、自分の中で大事にしていることは何かな。

 青柳 中心選手と言ってもらえるようになってから、すごく人に見られている。負けた次の日、残留練習に行った時とかに僕が横柄な態度で練習していて、ファームの選手に“勝てばいいのか”と思ってしまわれるのが嫌。鳥谷さんが阪神の時に“くよくよして落ち込んだところで、返ってこないんだよ”“おまえには次があるんだから、そこに向けて準備しないといけないし、落ち込むんだったらファームに行った時に落ち込みなさい”と言われていた。それは僕の中で意識していますし、後輩たちにも伝えていきたい。

 亀山 今年の開幕は青柳投手がマウンドに上がるところから始まると思っているんで、頑張ってください。

 青柳 ありがとうございます。

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