松坂世代最後の戦士 ソフトB・和田 今なお投げ続けられるのは大輔のおかげ

[ 2022年2月5日 05:30 ]

対談を終え笑顔を見せる松坂氏(左)と和田(撮影・岡田 丈靖)
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】昨年限りで現役を引退した元西武の松坂大輔氏(41=本紙評論家)が、ソフトバンクのキャンプ地・宮崎で和田毅投手(40)に直撃インタビューを行った。80年度生まれの「松坂世代」の同学年で、93人誕生した松坂世代のNPB選手で和田は最後の現役。左肩痛でも現役を諦めなかった理由に松坂氏の存在を挙げ、同世代の強い「絆」が垣間見えた。

 松坂氏 よろしくお願いします。キャンプインを迎えた心境は?
 和田 今年で20年目。毎年、年齢の部分でどうしても「体の方は大丈夫ですか?」と言われる。でも18年に肩を痛めて19、20、21年と、状態は年々良くなっているので。大丈夫かなと思います。

 松坂氏 1日のブルペン投球の映像を見させてもらいました。マウンドでの立ち姿、軸足できれいに立っている姿は「さすがだな」と。昨季終盤には肩の不安もありましたが、それを踏まえて自主トレで一番気にかけたのは?
 和田 (昨季は)チームが4位で、一昨年よりは準備の期間を長く取れた。自分に何が必要かと考えた時に(試合の)5、6回でボールが弱くなる。ボールの強さを求めていきたい。年齢的な衰えは仕方ないが、弱くなっていきたくないという思いはある。

 松坂氏 ボールの強さ。自分はここ数年の和田投手を見て「同い年で、まだこれだけ強いボールが投げられるんだ」と勇気付けられた。
 和田 もう一度、長いイニングを投げることに挑戦したい。年齢という課題に、できる限りあらがっていきたい。

 松坂氏 期待しています。和田投手の姿勢を若い選手が見られるだけでも大きな財産。見て学べることはチームの投手力の底上げになると思う。
 和田 僕は30歳の頃、40歳の自分が想像できなかった。千賀や東浜ら30歳前後の選手は今が一番脂が乗っている時だと思う。ただ、僕もそうだけど40歳になってもこうしてやれている。彼らにもやってほしい。40歳じゃないと分からない景色は絶対にある。そこを見てほしい。

 松坂氏 和田投手の姿勢を見て、彼らも長く投げられる秘けつを学んでほしいです。
 和田 まあ、肘は3回(手術を)やってきてますけどね(笑い)。

 松坂氏 なんかあれですね。和田投手と話していると、気持ちが入っちゃう(笑い)。
 和田 18年の時、僕の肩が「ああ、もう駄目かな…」って思ってから、もう一回立ち直らせてくれたのは大輔なので。
 松坂氏 いやいや。
 和田 大輔が投げているあの姿がなかったら、僕は本当に諦めていた可能性もある。あれだけ苦しんで、肩の苦しみの中でも、あれだけのボールを投げられる。凄い励みになった。同学年という存在は僕にとっては凄く励みというか…、仲間っていうんですかね。一緒にそういう存在がいてくれたからこそ今でもやれているのかな、と思う。
 松坂氏 今年はぜひ解説に行かせてください!

 和田 大輔は昨年引退してしまって…。野球で戦うのはなくなってしまったけれど、僕の投げる試合に解説で来てくれると思うので。同学年で、解説者とかコーチとかいろんな立場になっても本当に励みになる。一緒に、自分は選手として頑張ろうという気持ちにさせてくれる。
 松坂氏 和田投手にとって長く投げられるきっかけに自分がなったのはうれしい。まだまだ投げてもらいたい。
 和田 投げられるだけ…。大輔のように、あれだけもがけるかは分からないけれど、頑張ります。

 松坂氏 最後に今季の目標を。
 和田 長いイニングを投げたいという強い思いがある。もう一度、規定投球回を。あとは先発で投げさせてもらう以上は2桁勝利。若い時は目標にするまでもなかったけど、今は大きな目標。それを達成できれば、年齢は一つ上がるけど、来年また違った景色が見られるのかな。
 松坂氏 和田投手が目標を達成できれば、おのずとチームの順位も上がる。楽しみにしています。頑張ってください。

 《先発での投げ合い7試合》松坂氏と和田は計7試合で先発で投げ合っている。04年が2試合、05年が4試合、06年が1試合。通算では松坂氏の4勝3敗、和田の2勝4敗だった。初対決だった04年4月16日(西武ドーム)は松坂氏が3安打完封勝利。一方で和田も8回1失点の完投と息詰まる投手戦だった。松坂氏は05年7月9日(インボイス)でも9回5安打14奪三振で完封勝利を挙げている。大リーグでは12~14年に2人が同時に在籍したが、同じ試合で投げることはなかった。

 ▽松坂世代 松坂氏と同学年の80年4月2日~81年4月1日に生まれたプロ野球選手を総称する言葉として定着した。高3の春夏甲子園大会を連覇した横浜出身の松坂氏を筆頭に93人がプロ入りしたが、残る現役選手は和田のみ。投打に多くのスター選手を輩出したが、2000安打や200勝または250セーブが条件となる名球会入りを果たした選手はまだいない。

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