【阪神・佐藤輝-亀山氏対談(上)】怪物ロード歩む「子供が見て、すごいと思ってもらえる選手に」

[ 2022年2月5日 06:30 ]

亀山氏(右)のエールに応える活躍を誓った佐藤輝(撮影・平嶋 理子)
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 キャンプ恒例のスポニチ評論家による阪神選手のインタビュー。今春の第1弾は注目の佐藤輝明内野手(22)だ。亀山つとむ氏(52)との対談では“怪物ロード”を歩む覚悟を示した。昨季の後半は不振に陥りながらも、球団新人記録の24本塁打を放った生まれながらの“アーチスト”。自らの個性でもある長打力をさらに磨き、子どもたちの憧れの選手になる決意を語った。(構成・阪井 日向)

 亀山氏(以下、敬称略) 1年やったことで見えてきたものもある。プロはシーズン最後までノンストップでやるじゃない?体も頭も疲れると思う。そのへんは経験してみてどうでしたか?

 佐藤輝(以下、輝) やっぱり一番は技術的なところ。去年の後半は打てなくなった原因だと思うので。いろいろ変えていく中で、変えるとこと、ここだけは外したらダメだなというところは今のうちにつくっていこうかなって思っています。

 亀山 去年はシーズン途中で変えなきゃと思ったの?

 輝 変えなきゃというか、打率も3割打っていたわけじゃないし、ちょっと変えていかないといけないかなと思って変えていった結果、崩れてしまったという感じですね。

 亀山 ある意味度胸があるなと思ったのよ。1シーズン戦うのは未経験だったわけだから、何も変えずにやり切ってしまって、秋季キャンプから変えていくんだろうなと思って見ていた。例年と違うのは、五輪のブレークが1カ月もあった。

 輝 その期間でいろいろ試す時間もあったので。ちょっと変に変えすぎてしまったかなとは思います。

 亀山 普段のオールスターみたいに(中断期間が)3、4日だった方がよかった。体は当然休めるけど、その期間でいろんなことを考えすぎたのかな。

 輝 そうですね。でも、性格的にはもっと打ちたいとなってしまうので、後悔はしてないですけどね。

 亀山 後半はしんどかったでしょ。

 輝 打てなかったので…(笑い)。

 亀山 打てなかったけど、あの経験を1年目にしたということはすごくプラスだと考えていい。

 輝 プラスに考えるというか、もうプラスにするしかないんで。何とか、あの経験を今年につなげていけたらなと思ってます。

 亀山 やっぱり魅力は豪快なスイングと飛距離。本当に漫画みたいだもんね。

 輝 ハハハ。飛距離というのは、自分の持ち味、一番の長所だと思うんで。そこは死なせずにやっていきたいなと思います。

 亀山 キャンプ初日に(新庄)BIGBOSSも見てきたけど、佐藤選手は絵になるプレーヤーだと思う。持ち味は消さずにどんどん伸ばしつつ頑張ってほしい。

 輝 見てる方もそっちの方が面白いと思うし、自分の長所もどんどん生かしていけるんで。個性は消さずにやっていきたい。

 亀山 佐藤選手も誰かのマネをして育ってきたと思うけど、みんながマネをするようなルーティンをやってほしい。

 輝 子供が見て、すごいなと思ってもらえるような選手になりたい。

 亀山 自分の理想としている野球がしっかり表現できたら、あとはそれを組み立てるのは監督の役割。面白い野球を見せてよね。それが一番子供がマネをする要素だと思うから、派手な野球を見せてほしいね。

 亀山 プロを1年経験。今キャンプの入り方はどうですか?

 輝 オフシーズンにいろいろ試して、ここ(キャンプ)でも試しているというのは変わらないかなと思います。

 亀山 今はまだ責任を問われる期間じゃないけど、脳裏にはしっかり仕上げないといけないという意識はやっぱりある?

 輝 去年よりはありますね。去年は自分がどれだけできるのか試すだけでした。今年は去年やっている分、焦りとかはないですけど、しっかりやらないといけないなという意識はありますね。

 亀山 キャンプの中で、これはしっかりしていこうと考えている課題?

 輝 やっぱりバッティングですね。去年は何でもかんでも打ちにいっていて、前半調子が良かったときもストライクは打てるけどボール球がきたら打てない、そこも振っちゃうみたいな。それが分かってきて後半はボール球(の攻め)が多くなってきたところもある。やっぱりボールは見逃して、ストライクをしっかり打てる。後はインコースもしっかりさばけるように。そういうところは課題にしてやってます。

 亀山 後半は両サイドを攻められたので、インハイをファウルにできるか、アウトローを見送ることができるか、どっちかできれば変わったんだろうけどね。フォームも試行錯誤している?

 輝 去年のシーズンが終わってからいろいろと試してやっています。

 亀山 その辺もじっくりと、われわれは見させてもらって取材しています。

 ※対談(下)に続く。

 ▽佐藤輝、昨季の打撃フォーム変更 7月の球宴後、五輪中断期間に後半戦に向けた新フォームに挑戦。左手のグリップの握りを前半戦の親指+指3本から、小指を含めた4本でしっかり握るスタイルはエキシビションマッチで5本塁打。8月のシーズン再開6試合で11安打3本塁打と効果てきめんに見えたが、直後に59打席連続無安打の大失速。この間9月10日には初の2軍落ちを経験し、ファームでグリップの位置を耳付近からあごの高さまで下げるなど、不振脱出へ試行錯誤していた。

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2022年2月5日のニュース