【広島・栗林-大野氏対談(下)】誠也からの金言 新球より「いまある球種をさらに磨いた方が」

[ 2022年2月5日 07:00 ]

「2年目の進化」を胸にキャンプを送る広島・栗林(撮影・奥 調)
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 ※対談(上)から続く。

 大野 プロの世界で戦っていけそうだなという手応えは昨季でつかめた?

 栗林 そういう試合は一度もなかったです。自信を持つことも大事だとは思いますけど、毎日不安の中で戦っていった方が準備も一からできると思いますし。元々マイナス思考で、だからこそ準備を大事にするようになっていきました。そこはプラスに捉えていいのかなと思っています。

 大野 マイナス思考の中で、どのようにして気持ちを切り替えていたの?

 栗林 カープに入る前に(元中日の)井端(弘和)さん、吉見(一起)さんとお話をする機会がありました。井端さんは夜の12時まで試合の反省をして、日付が変わったら切り替えていたと言っていました。吉見さんは先発で月に4、5回登板があるから、そのうち2勝できればいいという考えでやっていたと。僕は毎回10試合ずつ区切りをつけてやるようにして、うまく切り替えられたのかなと思っています。

 大野 気持ちの持ち方一つだよね。ダメだったことをいつまでも引きずっていては抑えはできない。良かった自分、悪かった自分を受け入れることも大事。失敗すれば、次はどのような気持ち、考えで投げてみようかと前向きに考える。僕が若いときは、打たれたらどうしよう、四球を出したらどうしようと考えて自分の投球ができなかった。栗林の場合は自然と切り替えができている。マウンドに上がったらスイッチが入る。ピンチでは、さらにギアが上がる。そういう気持ちの強さが抑えに向いている。

 栗林 打たれたどうしようという思いもありますけど、いい打者の場合は特に、どうすれば最小限のリスクで抑えられるかという考えを持って投げています。ある程度、打たれる前提でリスクを負っていく。本塁打以外ならオッケーとか単打なら大丈夫と考えれば強気に攻められる。自分で自分を追い込みすぎないようにしています。

 大野 すでに、そういう考えを持って投げられているのはすごい。なかなか、すぐにできることではないよ。普通は「打たれたらどうしよう…」とか思って、逃げるような投球になる。打たれても傷口を最小限にできればいいというのが球に伝わるから、打者にとって打ちづらい球になる。よく言うのだけれど、球には気持ちが伝わるからね。ちなみに、プロ1年目で良くなった球種はあった?

 栗林 真っすぐ、カットボール、フォークの平均球速が上がりました。1回限定なので力を温存せずに出し切れたのが要因です。社会人時代はカットボールの球速が135~140キロだったのが、プロでは145キロぐらいまで上がった。一つ一つの平均球速が上がって打者が判断しにくくなったのかなと思います。

 大野 新球を覚えようとかは考えている?

 栗林 ツーシームを覚えようと思っていたのですが、捕手の方や(鈴木)誠也さんから「通用している間は、いまある球種をさらに磨いた方がいいのではないか」と言っていただいた。練習はしましたけど、重きは置かずに、いまある球種で勝負しようと思っています。

 大野 僕もいまの持ち球の精度をさらに高めていく方がいいと思う。いずれまた新しい球種を投げることになるかもしれないけど、いまある球種をしっかりとキャンプでつくりあげていくことも大切なこと。そして今年の目標はどうだろう。昨季から20試合連続セーブも続いているしね。

 栗林 記録は継続したままなのですか?

 大野 続くよ。

 栗林 そうですか…。連続セーブはチームの状況もあると思うので、まずはセーブ状況で失敗しないことを一番の目標に置いて、去年の37セーブを超えたいなと思います。

 大野 じゃあ40セーブ以上だね。

 栗林 えっ…(笑い)

 大野 セーブがつけばチームが勝つということだから。カープが優勝できる位置にいれば、おのずと登板数もセーブ数も増える。チームのみんなに「俺の出番を増やせ!」と言わないと(笑い)。

 栗林 抑えの場所を守り続けることを第一に考えて、1年間頑張りたいと思います。

 大野 長く現役をやらせてもらったけど、シーズンが変われば毎年ゼロからのスタート。新たな気持ちでゼロから一をつくりあげていくという作業の積み重ねだからね。いい形でキャンプを過ごしてほしいなと思います。

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