オリ・ラオウ杉本、史上最大の下克上キング!ドラフト10位から初の本塁打王「最後の年だと思っていた」

[ 2021年10月31日 05:30 ]

初の本塁打王が決まり、高らかに昇天ポーズを決める杉本
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 パ・リーグは30日にレギュラーシーズンの全日程を終えて個人タイトルが確定し、25年ぶりにリーグ優勝したオリックスからは32発の杉本裕太郎外野手(30)が6年目で初めて本塁打王に輝いた。ドラフト10位(15年)入団での戴冠は史上最低位。山本由伸投手(23)は最多勝など4冠、吉田正尚外野手(28)は2年連続首位打者と初の最高出塁率が決まり、球団として投打主要7部門を占めるのは95年以来の快挙になった。

 大覚醒がなければ、その生涯に悔いを残すところだった。「最後の年だと思って、楽しんでやろうと決めていた」。背水の覚悟で臨んだ6年目。杉本は前年2発から大飛躍し、自己最多を19年4発から32発まで大きく伸ばした。79年の掛布雅之(阪神=73年6位)、05年の新井貴浩(広島=98年6位)を超え、史上最も低いドラフト指名順位からの本塁打王となった。

 「まさか獲れると思っていなかった。ダイヤモンドを回っている瞬間が大好きで、それがあるから、野球を続けられている。もっと打ちたいなと思う」

 球団では10年33発のT―岡田以来。日本人右打者に限れば、阪急時代の73年に球団最多43発を記録した長池徳二以来、48年ぶりの快挙だ。

 漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウの義兄ラオウを敬愛。16年1月の入寮時には「北斗の拳も、野球界も同じ修羅の世界」と飛び込んだ。「2桁本塁打が目標。結果を残せたら登録名をラオウにします」と大胆構想を掲げたのは18年オフのことだ。初2桁どころか、初タイトル獲得。「変更も考えたんですが、やめます」。撤回したのは、さらなる飛躍を描くからだ。

 「北斗の拳ファン、ラオウファンに失礼だと思った。それくらいラオウは偉大なので。ぎりぎり3割(打率・301)で終えられたのは自信になると思うが、まだ1年だけなので、レギュラーは。来年、再来年と継続できるように」。11月10日からはCSファイナルSが始まる。「(右尺骨骨折の)正尚が治るまで勝ち続けて、正尚に最高の舞台を用意できるように」。もちろん、ポストシーズンでも打線のキーマンだ。(湯澤 涼)

 ◇杉本 裕太郎(すぎもと・ゆうたろう)1991年(平3)4月5日生まれ、徳島県出身の30歳。徳島商では投手で、1年夏の甲子園は出場機会なし。青学大で外野手に転向し、2年秋にサイクル安打。JR西日本を経て15年ドラフト10位でオリックス入り。17年9月9日楽天戦で日本人では史上3人目のプロ初安打を初回先頭打者本塁打で飾る。18年12月に同い年の一般女性と結婚。今季推定年俸は1400万円。1メートル90、104キロ。右投げ右打ち。

 ○…ドラフト10位で入団した杉本の本塁打王は、ドラフト外を除き、打撃3部門(打率、本塁打、打点)では76年首位打者の吉岡悟(太平洋=67年東京10位)と並ぶ最も低い指名順位。セでは20年首位打者に輝いた佐野(D)の16年9位が最も低い。

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2021年10月31日のニュース