ラスト采配の日本ハム・栗山監督「俺は泣いてない。もらい泣きしただけ」 全力10年、球団最多684勝

[ 2021年10月31日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム5―3ロッテ ( 2021年10月30日    ZOZOマリン )

<ロ・日>10勝目を挙げた伊藤(右)とウイニングボールを持つ栗山監督(撮影・島崎 忠彦)
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 最後は笑って終わるつもりだった。スタンドへあいさつした日本ハム・栗山監督。深々と頭を下げ、グラウンドに別れを告げてベンチ裏に消えたが、笑顔はそこまでだった。

 10年間の監督生活最後の日。監督室に来る裏方さんたちがみんな泣いている。「泣くなって言ったんだ。俺は泣いてない。絶対泣かないって決めてたから。もらい泣きしただけだから」。その目はもう真っ赤だ。それは選手を信じ、支えてくれるスタッフを大切にし、全力で戦い抜いた10シーズン、1410試合の証だった。

 栗山監督はしみじみこう言った。「最後の最後まで、本当に野球を楽しむことはできなかった」。どう選手を輝かせ、チームを勝たせるか。それだけに腐心した。就任1年目の12年にリーグ優勝、二刀流・大谷を育てて16年には日本一。球団歴代最多の684勝を挙げても悩み、苦しんだ。

 「監督は常に正しい選択をしないといけない」。だから、自分が正しいと思ったことはない。「正しい」と思えばそこで思考は止まる。「思考が止まれば先には進めない。新しい知恵も生まれてこないから」。尊敬する名将・三原脩氏の野球を標榜(ひょうぼう)し、先入観を持たず采配を振った。

 監督室には近藤も先制弾のホームランボールとバットを持ってきた。同じ12年入団から10年を歩み「本当によく頑張った。宝物にします」と言った。その近藤の一発などで3連勝を飾り、最下位も脱出して締めくくった。

 「新体制、新監督の下でしっかりやってくれると思う。それを応援する」。新庄監督へバトンを渡し、静かにユニホームを脱いだ。(秋村 誠人) 

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2021年10月31日のニュース