田淵幸一氏 阪神・佐藤輝は生まれながらにして「4番の資質」持つ 体勢崩されても右手一本で本塁打

[ 2021年5月3日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神7ー3広島 ( 2021年5月2日    甲子園 )

田淵幸一氏
Photo By スポニチ

 【田淵幸一 視点】初めて4番に座って逆転満塁アーチ。阪神・佐藤輝は生まれながらにして「4番の資質」を持っている。「ここで満塁ホームラン」とみんなが願う場面で打ったことがその証明。ファンに夢を与えるのが4番の仕事なのだ。

 注目したいのは、広島・野村のチェンジアップに体を泳がされながらスタンドまで運んだこと。体の強さ、スイングスピードに加えてボールを捉える技術という要素もある。何より、体勢を崩されても頭が前に出ていかずに残り、右手一本のスイングになっても本塁打にした。「うそだろ?」と相手に思わせるような一発を打つのが4番でもある。

 私の現役時代、広島戦でワンバウンドしそうなカーブに泳ぎながら左手一本でスタンドへ運んだとき、捕手の達川に「田淵さん、あんなのホームランにしちゃダメですよ」と言われた。あのときのことを思い出した。

 グリップを高い位置で構え、足を上げるフォームは研究され、壁に当たることもあるだろう。現在も三振数(44個)はリーグワースト。ただ、いくら三振しても気にしないで思い切り振っているのがいい。1年目は何も変えず、がむしゃらにやることが大切だ。

 私が43代で、佐藤輝が107代の4番。掛布以来の「真の4番打者」に育ってくれるのを楽しみにしたい。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2021年5月3日のニュース