ライバルの背中を追って…オリックス山崎颯、“リアル茂野吾郎”大谷を目標に活躍誓う

[ 2021年4月29日 09:00 ]

オリックスの山崎颯一郎
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 苦難を乗り越えて1軍舞台にたどり着いた。オリックスの高卒5年目・山崎颯一郎投手(22)。19年夏に受けた右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン)からの再起で、27日に初めて出場選手登録された。16年ドラフト6位で入団。1メートル90の長身から投げ下ろす直球は非凡さを感じさせ落差の大きいカーブ、スライダーが武器。17年U23W杯に日本代表として出場し最優秀防御率のタイトルも獲得し、同期の山本と将来的な二枚看板への成長が期待された逸材の1人だ。

 初の1軍キャンプをつかんだ2年目の宮崎でのこと。心境を尋ねた時に見せた、悔しそうな表情は印象深い。

 「1軍キャンプだからって、うれしい気持ちはないですよ。同級生の(山本)由伸が、1年目で1軍登板している。自分は、出遅れているので」。山本と冗談を言い合う姿を頻繁に目にした。傍目にも良いライバル関係を築けそうに見えた。その山本は19年に最優秀防御率、昨季は最多奪三振と2年連続でタイトルを獲得するなど飛躍。その一方で、右肘の故障。シーズン中も、オフの間も、新人合同自主トレ期間中も、大阪・舞洲の球団施設などファームで汗を流してきた。少なからず、複雑な思いもあったはずだ。それでも、山崎颯は常に笑顔だった。「おはようございます!」「お久しぶりッス!」と気丈だった。

 敦賀気比への入学当初から“北陸のダルビッシュ”と騒がれた。トミー・ジョン手術を経て、投球フォームは試行錯誤を繰り返していると思われるが、クセのない投球フォームの原点は、花巻東時代のエンゼルス・大谷。中学時代から映像を確認するなど手本にし、「体重移動がスムーズで、キレイで滑らか。僕もしっかり力がボールに伝わる投げ方を身に付ければ、まだまだ球速は出る」。人気野球漫画「MAJOR」の主人公を引き合いに、「大谷さんって“リアル茂野吾郎”ッスよね。僕も大谷さんのような選手になりたい。チャンスが巡って来た時に必ず結果を残せるようにしたいです」。

 掲げる目標は高く、目指すライバルの背中は今はまだ遠いが、期待は膨らむ。まだ22歳。山崎颯の挑戦が始まった。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年4月29日のニュース