【阪神新コーチに聞く・井上ヘッドコーチ(上)】ドラ1佐藤輝は外野練習もさせる 三塁には大山がいる

[ 2020年11月24日 08:00 ]

<阪神秋季練習>北川コーチ(中)藤本コーチ(右)と話す井上コーチ(左)(撮影・後藤 正志)
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 来季で就任3年目を迎える矢野監督を支える新コーチに意気込みや課題を聞いた。打撃コーチから昇格した井上一樹ヘッドコーチ(49)はドラフト1位指名した近大・佐藤輝の加入による競争激化を望んだ。

 ――現役時代は落合監督の下で強い中日でプレーし、中日2軍監督の経験もある。どういうヘッド像をつくっていきたいか。
 「監督はアレやコレや、もう、いろんなことを考えないといけない。たとえば会社と現場の関係もそうだし、現場なら野手のこと、投手のこと、ベンチの枠、1、2軍の選手の入れ替えなども考えないといけない。もちろん僕らコーチ陣も協力し合いながらやるが、(水戸黄門の)助さん格さん、(将棋の)飛車角じゃないけど、僕は(ヘッドコーチは)監督の負担を減らすポジションかなと思っている。だから監督にすべてをうかがって“どうしましょう”というのだと監督が考えないといけないことがいっぱいあるものを(さらに増やしてしまう)。たとえば、僕レベルで判断できるものなら、それは僕が指示を。僕が全部をのみ込んだ後に“監督、あれはこういうふうに指示しておきましたよ、こういうふうにしましょう”というポジションでいいかなと。ワンクッションとして僕が決められるものを決めていけば、監督の負担が減る。そこが一番の仕事かなと思う」

 ――監督との意思疎通も大事。今年1年もコミュニケーションをよく取っていた。
 「実際問題、他のコーチとしゃべれないようなことで、“話をするのは一樹だけ”ということもあった。僕も監督とコーチという壁は、しっかりつくっているけど、やっぱり、ざっくばらんに話したいときもあるでしょう。気持ちの疎通という部分で大事と思うので、そこは持つようにね。公私ごちゃ混ぜで“なあなあ”というのはダメ。ユニホームを脱いで男と男の一対一の会話というのも監督もやっぱり持ちたいだろうし、僕もそういうふうに話したいというのもある。そこは、うまく使い分けをしたい」

 ――来季の新戦力の目玉としてドラフト1位・佐藤輝が入ってくる。イメージは。
 「イメージ…体格がよく、パワーがあり、スピードもあるというのは聞いているので、楽しみではある。ただやっぱり、今現在、阪神タイガースのユニホームを着ている選手たちが彼を見たときに、どういう相乗効果を生むのか、というのが一番楽しみ。彼を見たときに“ヤベエな。ウカウカしていたら試合に出られねえや、1軍のベンチに入れねえや”というレベルなのか、それとも“おいおい、すごいっていうふうにどこの新聞もメディアも言っていたけど、そんなことねえな”と思うのか…というところがすごく興味深い。ただやっぱり競合して獲った選手だから、モノはいいだろうし、阪神の宝として、これからもどんどん大きくなっていかなければいけない存在ではある」

 ――今いる選手の起爆剤にということか。
 「起爆剤…やっぱりそういうふうに、黙っていてもなるだろう。彼の存在が気にならない選手はいないだろうから。これは内外野関係なく。やっぱり1軍の首脳陣、チーム、会社とすれば佐藤君が入ってきて、たとえばお客さんが呼べる選手である、チームの戦力として挙がる選手である、と(期待する)。これはもう、それに越したことはないけど、じゃあ、ライバルの選手たちは彼が入ってくることによって、自分がそこにいられるのか、いられないのかという死活問題になってくる。ものすごく敏感に反応して、競争意識が激しく高まるのかなと思う」

 ――大学時代は内野を守っていたが、起用法はどういうふうに考えているか。
 「僕がこれを言っていいのかどうか分からないけど、彼は大学では三塁を守っている。それでたとえば“阪神に入ってきましたね。じゃあ佐藤君、三塁を守ってよ”というふうな形にはできない。なぜなら今季、ホームラン王争いをした大山がいるから。それでも彼が“僕は三塁にこだわります”と言うのであれば、もちろん、そこで競争はさせるけど、他のポジションで競争をするという手もね。そうすることで試合に出られるというふうに考えれば、たぶん彼はそっちを選択するんじゃないかと思う。だから、こちら側は外野も視野にいれながら、練習させていかないといけないかなと思っている」

 ――去年は右の大砲を育てると話した。今後も、その部分は継続していく方針か。
 「今年はある意味、大山が(頭一つ)抜けたというかね。僕が去年、(大山以外に)挙げたのは江越、中谷、陽川…このへんだったと思う。その中でも特に陽川を今季(20年)は極力、試合に使っていきたいと思っていたし、数字も残させたいという気持ちがあったけど、途中でアクシデントもあって、試合数が少なくなった。だから来年はもちろん陽川に“ポジションを与えるから頑張れ”というわけにはいかない。そこはまた競争。ただ彼が“今季、少しやれたな”というものを踏み台としてやってくれたら、もうひと段階、楽しみなものが見えるかなという期待がある。だから、練習のときから、打撃練習でも守備練習でも自分の中で他の選手よりも“ハードめ”にさせようという気持ちはある」

 ◆井上 一樹(いのうえ・かずき)1971年(昭46)7月25日生まれ、鹿児島県出身の49歳。鹿児島商から89年ドラフト2位で投手として中日入りし、94年に外野手転向。99年は開幕戦から21試合連続安打などで11年ぶりのリーグ優勝に貢献。1軍通算1215試合、打率・275、79本塁打、349打点、13盗塁。09年引退後は10年から13年に中日でコーチ、2軍監督を歴任し、20年は阪神で打撃コーチ。1メートル84、93キロ。左投げ左打ち。

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