ソフトB“頭魂”王手!甲斐 バント失敗の汚名返上、8回Vヘッスラ「この距離だけは全力で」

[ 2020年11月15日 05:30 ]

パ・リーグCS第1戦   ソフトバンク4―3ロッテ ( 2020年11月14日    ペイペイD )

<ソ・ロ>8回2死満塁、遊撃適時内野安打で一塁へヘッドスライディングする甲斐(撮影・岡田 丈靖)
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 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS=4試合制)が14日に開幕し、レギュラーシーズン優勝のソフトバンクが2位ロッテに逆転勝ち。1勝のアドバンテージを含めて2勝とし、早くも日本シリーズ進出に王手をかけた。8回に甲斐拓也捕手(28)が決勝の遊撃内野安打を放った。15日の第2戦に勝つか引き分けると、4年連続の日本シリーズ出場が決まる。

 会見場でも、流れる汗と息遣いは激しい。赤土と石灰まみれのユニホーム姿が、勝負を決めた男の雰囲気をいい感じに醸し出していた。甲斐の激走内野安打で勝負は決まった。

 「もう、どうやって打とうかではなく、しっかりと見て“コトを起こそう”と。打球も見ないで、この距離だけは全力で、と。何とかしてやろうと気持ち一本で走りましたね」

 3―3の8回2死満塁。カウント2―2から、沢村の152キロのスプリットを振って、走った。高いバウンド後にボテボテになったゴロを、遊撃定位置の藤岡が前進し一塁送球。甲斐は左手を思い切り伸ばしヘッドスライディング。巻き上がった土煙と、ベンチから飛び出して沸く仲間の姿が見えた。決勝の適時打。工藤監督は「執念のヒット。何とかしたいのが、バットに乗り移って。よく打ったと思います」と称えた。

 汚名返上だった。「やるべきことができなかったことは反省した」。時を戻すと少しトーンが落ちる。1―3の5回無死一、二塁で3度バントを試みるもファウルで犠打失敗。「失敗したといっても試合は続く。引きずると投手にもつながる。すぐに切り替えた」。捕手としての自覚がミス帳消しにつながった。

 決戦前日。指揮官は人気アニメ映画「鬼滅の刃」の主人公が勝負どころで口にする「全集中」のセリフを使ってナインを鼓舞した。ところが甲斐は「“鬼滅”自体を知らなかった」と告白した。「全集中」の背景を知らなくても、しびれる場面で、ここぞの集中力は増した。

 赤土だらけのヒーローは甲斐だけではない。グラシアルも執念の走塁で逆転を呼んだ。2―3の1死一、三塁。三走の4番打者は牧原の二ゴロで、送球を受けた一塁手の井上が“ポロリ”。その瞬間に三塁からヘッドスライディングで本塁に生還した。「際どいタイミングだったけど球が落ちたのが見えて、迷いなくスタートが切れた」と胸を張った。

 泥くさくても勝ちは勝ち。ポストシーズン11連勝だ。今日の第2戦で勝つか引き分ければ日本シリーズ進出が決まる。「チームで粘り強く、同じ気持ちで、いい雰囲気で戦えている。明日決めて、日本シリーズに行く」と甲斐。勢いそのままに駆け抜ける。

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