開幕戦の衝撃 広島・大瀬良が奪った丸4連続三振 新人にはどう映ったのか

[ 2019年4月26日 08:00 ]

<広・巨(1)>1回1死、丸を三振に仕留める大瀬良(撮影・森沢裕)
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 衝撃は、1カ月くらいでは薄れない。3月29日、広島の本拠地マツダスタジアムでの巨人との開幕戦。大瀬良は、昨季までの同僚の丸から4打席連続三振を奪った。打席を重ねるごとに大きくなる歓声。1点リードの8回1死一、二塁、外角直球での見逃し三振には、昨秋の日本シリーズでも経験しなかったと言ってもいい、地鳴りのような歓声が起こった。

 あの名勝負を、開幕1軍で迎えた新人が、それぞれの思いで見つめていた。ドラフト1位の小園がベンチ入りしたのは、開幕戦特有の緊張感を体感させようとする首脳陣の思惑もあった。「最高の場所でした。独特の緊張感があって、いい経験になった。早く1軍でプレーしたいという気持ちになりました」。出番はなくても、貴重な財産を手に2軍へと向かった。

 同2位・島内は、ブルペンのモニターで「師匠」の快投を見つめていた。大瀬良は九州共立大の先輩にあたり、春季キャンプではキャッチボールでコンビを組むなど面倒を見てもらった。試合が始まると、胸の高鳴りを抑えられなくなったという。「球場とかの雰囲気も違うし、思ったよりも緊張していましたね」。

 7回には、大瀬良のバックアップとして肩を作るように指令を受けた。「1対0のあんな場面が僕のデビュー戦だったらと思うと…」。あの状況でバトンを受ける――と想像するだけで緊張は頂点に達した。結局、大瀬良は崩れることなく、自身の開幕戦での登板はなかった。それでも、「大瀬良VS菅野」の投手戦をモニターから見つめるだけで、得るものはあった。

 「あれだけの制球力を求められるのが、一線級のプロなのかと勉強になりました。大瀬良さんのように、プロは開幕にちゃんと(調子を)合わせてくる。あと、おふたりを見て、スライダー、カット系がやっぱり大事だなと思いました。そこは自分の課題でもあるので、改めてスライダーを磨かないといけないと感じました」

 ちなみに、大瀬良が新人だった14年の開幕投手は、前田(現ドジャース)だった。7安打されながら6回2失点で耐えた投球に「エースって凄いんだなと」と衝撃を受けたという。1年目のオフから3年連続で合同自主トレをした「マエケン師匠」の姿を今も覚えているように、島内も大瀬良の投球を忘れることはないだろう。

 その島内は25日現在、4試合に登板して防御率9・64と結果を残せず、2軍で調整中。こだわりのある先発への思いは封印し、中継ぎとして再昇格を目指している。思えば、大瀬良も、中継ぎを経験しながら開幕投手までたどり着いた。丸を4連続三振、巨人を8回零封11奪三振――。強烈な事実でさらに尊敬の念を深めた憧れの先輩のおかげで、島内の目標は常に高く設定されることになった。(記者コラム・河合 洋介)

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2019年4月26日のニュース