安定した巨人・丸の外野守備 チーム69年ぶりの大台を狙う

[ 2019年4月26日 08:30 ]

7日のDeNA戦で好捕を見せる巨人・丸
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 【宮入徹の記録の風景】 当たり前のように落下点に入り、飛球をキャッチする。巨人の丸は今季外野手としての刺殺数がリーグ最多タイの46。外野手の刺殺は、ほとんどがフライを捕球することで記録される。そのためこの数字が多いほど、守備範囲が広いといえる。広島時代にレギュラーポジションを獲得した11年以降、丸の外野刺殺数とリーグ順位は11年252(3位)、12年142(10位)、13年256(3位)、14年293(3位)、15年273(2位)、16年284(3位)、17年274(2位)、18年230(2位)。8年間で3位以上が7度。13年から6年連続でベスト3入りしている。外野刺殺の連続シーズン3傑入りの最長記録は71~83年福本豊(阪急)の13年。セ・リーグでは69~80年山本浩二(広島)の12年が最長で6年以上は8人しかいない。丸の広い守備範囲は打撃のみならず、チームに大きなアドバンテージをもたらしている。

 丸が現在のペースで刺殺を積み上げると、最終299になる計算。シーズン300刺殺以上は昨年西川(日本ハム)が309刺殺でクリア。セ・リーグでは16年大島(中日)が300刺殺で記録しており、さほど珍しい記録ではない。ただし、巨人の場合は事情が違う。初めて300刺殺に乗せたのは1リーグ時代の48年。「じゃじゃ馬」こと青田昇が391、「塀際の魔術師」の異名をとった平山菊二が308と2人がマークした。青田の391刺殺は現在もプロ野球最多記録として破られていない。青田は49、50年も320、338と3年連続で300刺殺以上。中堅手として右に左に走りフライを捕り続けた。

 ところがその後、巨人で300刺殺を記録した外野手はいない。試みに60年以降の各年代ごとの外野手シーズン最多刺殺選手を出すと60年代=65年吉田勝豊293、70年代=75年柴田勲252、80年代=83年松本匡史257、90年代=97年松井秀喜287、00年代=00、01年松井秀喜278、278、10年代=11年長野久義262。球史を彩った名外野手も大台到達はならなかった。丸のシーズン最多刺殺は前出14年の293。チーム69年ぶりとなる300刺殺を達成しても不思議ではない。

 話を今季のパ・リーグに移したい。26日現在、外野手の最多刺殺は西浦(オリックス)の55。2位の田中(楽天=52)に3差をつけている。西浦は今季高卒2年目で5月21日に満20歳を迎える。過去のシーズン最多刺殺外野手の最年少は37年春の山口政信(タイガース)、44年堀井数男(近畿日本)、57年毒島章一(東映)、92年前田智徳(広島)の各21歳シーズン。20歳シーズンでリーグ1位なら最年少記録更新となる。ここまで西浦は全試合に中堅手として先発出場。打率・230(29位)、0本塁打、5打点、5盗塁(4位タイ)の数字を残している。外野手の場合、守備力も大事だが、やはり打力の充実が不可欠。試合に出続けるために、バットでの貢献度も上げたいところだ。

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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