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「燃える男」星野監督に見た“島岡御大”の姿…鉄拳の中にあった愛情 11・28最後の笑顔が宝物に

昨年1月、野球殿堂入りが決まり、明大時代の恩師・島岡氏のレリーフの横で笑顔を見せる星野氏
Photo By スポニチ

 現役時代は“燃える男”そして監督になれば“闘将”と言われた星野仙一氏。体に脈々と流れていたのは明大で4年間、島岡吉郎監督の下で鍛えられてきた「人間力野球」である。

 倉敷商では甲子園出場をあと1歩で逃し、神宮球場でエースにの思いで入学。そこで島岡監督との運命的な出会いがあった。1年365日合宿所で選手と寝食を共にし、練習から死にものぐるい。元は明大応援団長だから技術的なことは別で、ベンチを飛び出してゲキを飛ばす。「なんとかせい!」「死んでも塁に出ろ!」そして基本になるのが選手の人間力だ。

 合宿所の便所掃除は上級生にやらせた。ある日、便器がきれいに磨かれておらず激怒。星野主将ら上級生を集合させ、便所掃除の手本を示した。星野さんはその当時を振り返って「お前たちは掃除にも“誠”の心がこもってないというんだ。そうしたら御大自ら便器を洗い始めた。しかも素手でな」と、島岡監督の本気度をあらためて感じとったという。

 星野投手の拙い守備から宿敵・早大に敗れた試合後、グラウンドに戻るなり「こんな世界一のグラウンドで練習してなんでエラーするんだ。グラウンドの神様に謝れ」と激怒した。以前、ドラマ化されたから、このシーンをご存知の方もいるかもしれない。スライディングパンツ1枚になり、レギュラーたちは守備位置に散って正座。「神様申し訳ありません。2度とエラーはしません」とグラウンドに額をすりつけた。

 もちろん島岡監督も本塁に正座。夜となりグラウンドは闇に包まれた。果てしなく続く正座。星野さんは「真っ暗くて見えないし、御大は先に合宿所に帰ったと思った」という。途中から雨が降り出し明け方を迎えた。周囲が明るくなりかけ、星野さんがふと前を見ると、なんと島岡監督もパンツ1枚のまま正座していたのだ。

 このときの衝撃を明大野球部史にこう書いている。「御大は合宿所に引き揚げただろう、てっきりそう思い込んでいたんです。ところがホームをよく見たら御大のデカパンがぼんやり浮かび上がっているんです。このときばかりは素直に頭が下がりました。参りました、という感じしかないんですよ、本当に。明大4年間で最高の思い出ですね。私のノーヒット・ノーランなんて小さい小さい」

 中日に入団してからも東京遠征の際は明大のブルペンに来て投げ込みもした。多分、大学時代の原点に戻る意味合いもあったのだろう。生まれる前に父を亡くした星野さんにとって島岡監督はまさに“オヤジ”だった。

 監督になり中日、阪神、楽天で優勝。楽天では悲願の日本一にもなった。島岡監督の薫陶を受けた私も含めた明大OBたちは星野監督の姿に島岡御大をだぶらせていた。

 鉄拳は当たり前。しかしそこには必ず愛情があった。中日時代は鉄拳制裁で鍛えた男たちに胴上げされ、阪神時代は赤星の頭ごと抱擁し、楽天ではマー君も抱きしめた。

 11月28日、殿堂入りパーティーが終わり会場を出た星野さんに「ご苦労様」の意味も込めて頭を下げた。右手高々と挙げ「きょうはありがとな」と笑顔でエレベーターに消えた。あの笑顔を私は記憶の中で宝物として取っておく。(落合 紳哉)

[ 2018年1月6日 18:50 ]

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