イチロー“名演技”巧妙トリック 中堅手もだまされた「見えなかったの?」

[ 2015年5月12日 05:30 ]

<ジャイアンツ・マーリンズ>9回1死一塁、ブランコが頭上を越える長打を放つも、捕球体勢に入るトリックプレーを演じるイチロー

ナ・リーグ マーリンズ2―3ジャイアンツ

(5月10日 サンフランシスコ)
 マーリンズのイチローはジャイアンツ戦で、マリナーズ時代の12年5月以来、3年ぶりに3番で先発し3打数無安打。しかし、右翼の守備でトリックプレーを演じた。

 1点リードの9回1死一塁、ブランコの打球は右翼へ。「同点にはさせたくない。リスクをとらないと利益も取れない」。はるか頭上を越える当たりだったが、背番号51は背走後、振り返って捕球体勢に。「とりあえずランナーを止める。ランナーと目は合わせています」。この動きを見た一塁走者の代走アリアスは一、二塁間で減速した。

 その瞬間、クルリと反転。特殊な形状で有名なAT&Tパークの右翼フェンスに当たった打球は、幸運にも目の前にはね返ってきた。スタートが遅れたアリアスは三塁でストップし「だまされて足が止まった。いい役者だね」と舌を巻いた。

 同球場でプレーするのはこの4連戦が公式戦では初めてだったが、クッションボールの難しさは、よく分かっている。07年のオールスター戦で右中間フェンスに当たった打球が無人の右翼線方向に転がり、球宴史上初のランニング本塁打を記録した。「そこはもうかけ」と、同点を阻止するためのイチかバチかのプレー。「本当はセンターが(自分の意図を)知っていてカバーに来ることが前提だけど、僕の動きにだまされた」。中堅手オズナからは「打球が見えなかったのか?」と試合後に聞かれたという。

 ただ、イチローの名演技も実らず、抑えのシーシェクが2死満塁から青木に押し出し四球で同点。続く打者にサヨナラ打を浴びた。それでも球場全体を手玉に取る大胆かつ巧妙な頭脳は健在だ。

 ▼マ軍、ジェフリー・ロリア・オーナー 凄かったね。試合後本人に“あんな頭脳的なプレー見たことがない”と伝えたよ。彼は“常に脳味噌を動かし続けている”と説明してくれた。

 ▽イチローの球宴ランニング本塁打 マリナーズ時代の07年7月10日、5回1死一塁でヤングから右中間に大飛球。打球がフェンスのくぼみに当たって右翼の定位置方向にはね返る間に生還。球宴史上初のランニング本塁打となり、3安打2打点で日本選手初のMVPを獲得した。

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