セ、25日開幕へ…“東電エリア”でナイター2試合

[ 2011年3月18日 06:00 ]

会見終了後、新純生セリーグ理事長(左)と話をする清武英利巨人球団代表

 セは3・25へ準備、パは4・12開幕――。セ、パ両リーグは17日、東京・内幸町の日本野球機構(NPB)事務局で公式戦開幕日程を発表した。

 セは選手会の反対を押し切り、予定通りに今月25日の開幕を目指して準備を進める。パは楽天が本拠地を置く仙台が被災したことを受けて4月12日まで開幕を延期。開幕延期は1950年の2リーグ分立後初となった。東日本大震災は被害を広げるばかり。被災地での物資不足、福島第1原発の事故が追い打ちをかける中でのセの決定は、大きな波紋を起こしそうだ。

 報道陣であふれたNPB事務局の会議室。12球団の代表者たちが顔をそろえ、騒然とする中で会見は始まった。午後5時半。ちょうど首都・東京が大停電の可能性による帰宅ラッシュにあふれ返るころ、セの開幕日程が明らかになった。

 予定通りに25日の開幕へ向けて準備を整えていく――。批判を覚悟の上での決定だった。

 「世論に賛否両論あるのは分かっている。いつ開幕するかを発表するのに悩みました」。加藤良三コミッショナーは苦しい胸の内を説明。会見に臨んだ球界首脳は「プロ野球人としての責務」と声をそろえ、3・25開幕の意義を訴えた。プロ野球の役割とは何か。パが延期を決める一方、セは会見前に都内で臨時理事会を開催。異論も出たが最後は「準備を整える」との表現で強行を図った。状況を見極め、環境が整わなければ中止するという。もしこの日のような大停電の予報が出れば「ナイター中止の判断対象になる」。セの新(あたらし)純生理事長(ヤクルト球団常務)の口調は重かった。

 25日開幕条件として(1)観客と選手の安全確保を最優先する。(2)セ、パ全試合を被災地への支援試合とする。(3)原発、電力など政府、監督官庁からの指示に従う、の3点を提示。でも「なぜ25日?」の疑問は残る。

 11日に起きた東日本大震災。そのわずか2週間後の開幕で被災地へ勇気を届け、ファンの理解を得られるのか。被災地では救助活動が続き、電力事情、福島原発事故の影響も深刻だ。開幕戦は3試合すべてナイター。選手会が猛反発するのも当然だった。それでも加藤コミッショナーは「この困難な状況でこそ、真剣勝負を見せることがプロ野球の社会的責務」と強調し、新理事長は「選手に理解を求めていく」と続けた。セの声明は9・11米中枢同時テロの際のMLBセリグ・コミッショナーの言葉「野球は人々を鼓舞する力がある」を引用したが、その力を発揮するタイミングでないのも確かだ。

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2011年3月18日のニュース