イチロー「大丈夫ですか」斎藤に勇気の言葉

[ 2011年3月18日 06:00 ]

<マリナーズ・ブルワーズ>登板後の斎藤(右)と握手するイチロー

オープン戦 マリナーズ4-5ブルワーズ 

(3月16日 ピオリア)
 がんばろう日本!マリナーズのイチロー外野手(37)が16日(日本時間17日)、ブルワーズ戦に出場。試合中には東日本大震災で実家のある仙台が甚大な被害を受けたブ軍の斎藤隆投手(41)を訪ね、家族や親類が被災した右腕を見舞った。ここまで公の場で震災に対する発言を控えているが、母国を思う気持ちは他の大リーガーと同じ。イチローの思いを、斎藤が代弁した。

 斎藤が投げ終わるのをベンチで見届けてから、イチローはブルワーズ側ベンチへと自ら歩み寄り、右腕に声を掛けた。

 斎藤と、互いに神妙な面持ちで会話を交わす。最後にがっちりと握手をし、別れ際には脱帽した斎藤に深々と頭を下げられた。時間にしてわずか1分。しかし、95年の阪神・淡路大震災を知るイチローの言葉だからこそ、確実に斎藤の心を打った。

 「私の家族、親戚への配慮。大丈夫ですか、という言葉を掛けてくれました。神戸の震災も経験した彼は、東北全土の方を思うような、とても気配りのある言葉で心配をしてくれています。イチローもとても心配しているという、何か明るいところをぜひ、東北の被災されている方に伝えていただきたいと思います」

 イチローはここまで、状況の詳細が分からない中でのコメントは差し控えたいとし、この日も震災について語ることはなかった。しかし震災が起きた11日には、日本人報道陣に「メディアの方々は大丈夫ですか」と声を掛けた。自らの発言の影響力を知るからこそ、軽率な発言は避けているが、母国を案じる気持ちは強い。つらい気持ちの中で野球を続ける斎藤に語った言葉こそ、「人間イチロー」の本心だった。

 毎年1月17日、イチローは欠かさず黙とうをささげる。自らも「死」を意識したという阪神・淡路大震災で亡くなった6434人の犠牲者に思いをはせる。その行動もまたイチローの本心。「がんばろうKOBE」のスローガンワッペンが右袖になくても、当時と同じ気持ちで野球を続ける。

 試合後、斎藤はキャンプ地近くのフェニックス空港に到着した横浜に住む妻子を出迎え、イチローは静かに球場を去った。その口を開かずとも、イチローの気持ちは多くの日本人と同じだ。

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