松坂大輔氏 28年ロス五輪の野球競技復活歓迎 大谷らメジャートップ選手が参加できる環境整備を

[ 2023年10月31日 05:15 ]

アテネ五輪で金メダルを獲得したキューバ代表と記念撮影する、銅メダルを獲得した日本代表の松坂大輔投手ら日本ナイン
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 松坂大輔氏(43=スポニチ本紙評論家)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」。10月編は28年ロサンゼルス五輪で野球競技が復活したことについて。松坂氏は00年シドニー、04年アテネと2大会連続で五輪に出場。WBCを含めて日の丸を背負って何度もプレーした。五輪で野球競技が復活したことの意義や、大リーグのトップ選手が参加するための道筋などについて語った。

 今月16日のIOC総会で野球競技の復活が決定。自宅のあるボストンでニュースを聞きました。米国での夏季五輪開催は96年アトランタ以来、32年ぶり。素直にうれしかったです。選手のモチベーションにもつながりますし、野球をやろうという子供が増えるきっかけにもなるでしょう。野球界にとって非常に大きな出来事だと思います。

 日本代表の格好いいユニホームを着たい――。自分が五輪出場を初めて意識したのは中3の時です。当時はまだWBCは開催されておらず、日本代表イコール五輪。選ばれるのにふさわしい選手に、と思い続けていました。プロ入り後の00年シドニー、04年アテネ五輪に出場。20年ほどたちますが今でも悔しい思いしか残っていません。シドニーはメダルに手が届かず、金だけを目指したアテネは銅。21年東京五輪で悲願の金メダルを獲得した時は自分のことのようにうれしかったです。

 自分はWBCにも出場しましたが、五輪との違いや大会としての意義など、受け取り方は人それぞれだと思います。五輪には大リーグのトップ選手が出場せず、重みが違うと言う人もいるでしょう。ただ、日の丸を背負って戦うことに変わりはない。日本を代表してプレーすることは、自分にとってどちらも本当に大切でした。

 28年の大きな焦点は、大リーグのトップ選手が出場するかどうか。自分はマイナー選手中心の米国代表と対戦しましたが、それでも「こんなにレベルが高いのか」と野球大国の底力を実感しました。母国開催のロサンゼルス五輪でトップ選手が参加できる環境が整えば本当に楽しみです。

 大リーグ側は五輪期間中にシーズンを中断することは嫌がるでしょう。ならば1球団の派遣人数を決めた上でシーズンは継続する、などの方法もあります。自分が出場したシドニー五輪もパ・リーグは1球団1人で、シーズンも中断されませんでした。まだ時間はあります。大谷翔平選手ら、大リーグのトップ選手が母国のために戦う。盛り上がりも変わりますし、世界中に野球が広がっていくきっかけにもなると思います。

 【松坂大輔氏の五輪出場】
 ☆00年シドニー五輪 プロ選手の出場が解禁。9月17日の予選リーグ初戦の米国戦に先発し、10回8安打2失点の好投もチームは延長13回にサヨナラ負けを喫した。同23日の韓国戦は9回7安打5失点。同27日の韓国との3位決定戦に中3日で先発し、8回6安打3失点で完投も黒星でメダルを逃した。

 ☆04年アテネ五輪 8月17日のキューバ戦に先発して8回1/3を7安打3失点。キューバからは五輪6戦目での初白星で、自身にとって五輪での初勝利を手にした。同24日のオーストラリア戦は7回2/3を5安打1失点で13奪三振の力投も、試合は0―1で敗戦。チームは翌25日のカナダとの3位決定戦に勝利して銅メダルを獲得した。

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