門別、歴史的先発デビュー 阪神高卒新人初!プロ初先発で5回零封「全然緊張しないで投げられた」

[ 2023年10月1日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1-2広島 ( 2023年9月30日    マツダ )

<広・神>3回まで無失点の好投を続ける門別(撮影・岸 良祐)
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 堂々の先発デビューだ。阪神のドラフト2位左腕・門別啓人投手(19)が30日の広島戦でプロ初先発し、7安打を浴びながらも5回を無四球で無失点。球団の高卒新人がプロ初先発で5回以上を無失点で抑えたのは、66年のドラフト制以降では初の快挙となった。打線の援護がなく勝敗はつかず、チームは1―2で敗れて3連敗を喫したが、来季に向け、この上ない収穫を得た。

 高卒ルーキーとは思えない強心臓ぶり。門別が球団史に残る先発デビューを飾った。再三のピンチにも崩れず5回零封。プロ初勝利こそお預けとなったが敵地に衝撃を残した。

 「初登板の時は凄く緊張したけど、全然緊張しないで自分のペースで投げられた。ピンチじゃない時も、ピンチの時も真っすぐで押していけた」

 最大の武器である直球で真っ向勝負。広島打線に雪辱した。同じマツダスタジアムで3回3失点だった9月15日のプロ初登板後、欠場した坂本から「真っすぐがいいのに何でもっと投げないのか」と助言され、ハッとした。「自分でも真っすぐで勝負できたらと思った。もっと自分の意思を持って投げればよかったな…と」。反省を生かし、この日は直球主体の攻めの投球。4回1死一、三塁で末包、デビッドソンを連続三振に仕留めるなど、5イニング中、3イニングで得点圏に走者を背負いながら、最後までホームを踏ませなかった。

 最愛の家族とともにマウンドに立ち続けてきた。5歳の時、妹の心奈(ここな)さんが脳腫瘍で他界。高校時代に名前をグラブに刺しゅうし「今回も妹の名前を入れて、気持ちを入れて頑張れたらなと思って」と、プロ入りに際して新調した相棒に妹の名を刻んだ。「ずっと思っているんだろうなと。啓人の中で(妹は)特別な存在ですから。プロでも名前を入れたと聞いて、もの凄くうれしかった。力を借りて戦いたかったのだろうなと思います」と、母・実保さんは愛息の覚悟を感じていた。道を切り開くような人になってほしい、という願いから啓人と名付けられた左腕。堂々の初先発で、プロ選手としての未来を切り開いた。

 「真っすぐで押す投球をもっと磨いていけたらなと思います。これから先はずっと1軍で投げていけるように、もっともっと練習していきたいです」

 岡田監督も「富田とかいろいろ投げさせたけど、一番落ち着いて投げとったよな。来年の楽しみやんか」と最大級の賛辞。猛虎にまた一人、末恐ろしいサウスポーが現れた。 (阪井 日向)

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