【甲子園】元DeNAスカウト部長・吉田孝司氏 花巻東・麟太郎はミスターほうふつ

[ 2023年8月9日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第3日 1回戦   花巻東4-1宇部鴻城 ( 2023年8月8日    甲子園 )

<花巻東・宇部鴻城>4回、適時打を放つ花巻東・佐々木麟(撮影・藤山 由理)
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 【吉田孝司氏の目】V9時代の巨人でプレーし、巨人とDeNAでスカウト部長を務めた私は何千人も選手を見てきたが、一番の衝撃を受けたのは長嶋茂雄さんだった。私の選手1年目、長嶋さんのティー打撃を見た時は、あまりの打球の強さにネットが突き破れるかと思ったよ。麟太郎の1打席目の強烈な打球で「ミスター」を思い出したね。

 麟太郎と長嶋さんはバットのグリップを動かしてタイミングを取るタイプ。こういう打者はトップをつくる時にグリップが下がりがちだが、長嶋さんはトップの時もグリップの位置が高く、そこから脱力でスイングし、下半身→腕→グリップと力を連動させていた。この高い技術が爆発力を生んだが、麟太郎もこれができている。

 昨春の選抜との一番の違いは脱力だ。市和歌山の米田君(現東海大)の速球に対し、トップの時に力が入っていたため、バットが出てこなかった。今回はトップの位置で脱力ができている。だから、内角に対しても素直にバットが出てヒットゾーンに飛んだ。「静から動」ではなく「動から動」。パワーだけじゃなく技術も凄い。日本のバリー・ボンズになれる可能性を秘めている。(元DeNAスカウト部長)

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