【甲子園】福島敦彦氏　相手投手を研究し尽くした大垣日大・山田の走塁が光った

第105回全国高校野球選手権記念大会第3日　1回戦   大垣日大7―2近江 （ 2023年8月8日    甲子園 ）

福島敦彦氏

　両監督ともに甲子園での実績が十分で、その采配にも注目していた。盗塁、スクイズ、ランエンドヒットと最後まで大垣日大・阪口監督が先手を取って攻め続ける形となり、後手に回った近江・多賀監督は結果的に何もさせてもらえなかった。

　大垣日大の盗塁で目を引いたのが、いずれも得点に結びついた山田君の走塁だ。2回の二盗、3回の三盗は相手投手のモーションを完全に盗んでおり、かなりの研究の跡がうかがえた。

　私が報徳学園監督だった1973年選抜2回戦で当時東邦を率いていた阪口監督と対戦。結果は3―4で逆転負けだったが、今も昔も勝利への執念、野球への情熱は変わっていない。あれから50年。甲子園通算40勝は一つの区切りでしかないが、うれしく思う。

　近江としては2点を返した直後の7回の3失点が何とも痛かった。失策と死球での走者で2死一、二塁。当たっている山田君と勝負にいったが、次打者・日比野君と2人で1アウトを取る意識があれば、さらに接戦に持ち込めたかもしれない。（報徳学園、慶大、中山製鋼元監督）