引退・日本ハム杉谷拳士の素顔 タクシーの天井にサイン、その後も… いつもファンのために

[ 2022年10月28日 16:13 ]

ファンと勝利のハイタッチを交わす杉谷。明るいキャラクターと持ち前のサービス精神でファンに愛され続けた
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 日本ハムの杉谷拳士内野手(31)が28日、札幌市内の球団事務所で会見を行い、今季限りで現役引退することを表明した。花束贈呈では侍ジャパンの栗山英樹監督が登場。杉谷は涙を浮かべる場面があった。明るい性格で、球団の垣根を越えた人気者。球場外でも常にファンサービスを続け、ファンに愛される存在だった。

 2015年の冬。取材先までタクシーで移動中、ふと車内の天井を見上げるとサインが書いてあった。「“自信は努力” 日本ハム杉谷拳士――」。なぜこんなところに、と思っていると運転手さんが笑顔で説明してくれた。

 「私がお願いしたんです」。大の杉谷ファンという運転手さんは、たまたま杉谷が乗車したのでサインをお願いしたという。しかし、その場に色紙はなく、無理を承知で車内の天井にお願いしたところ、快く承諾してくれたという。

 だが、目的地が近くなると杉谷は「コンビニに寄ってください」と、運転手さんに伝えた。手ぶらでコンビニから戻ってくると「もう1軒、寄ってください」と2軒目へ。しかし何かを購入した様子はなく、少し照れながらこう答えたという。

 「運転手さん、ごめんね。色紙なかった。北海道は色紙を置いているコンビニが少ないね」

 年明けの東京。母校の帝京で自主練習中の杉谷に、その話を聞くと「そんなこともあったね。それでトークショーに遅れて怒られたんだよ」と笑っていた。プロ14年間で目立った記録は残らなかったかもしれない。しかし、タクシーに書かれたサインとともに、ファンの記憶には残った選手だった。

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2022年10月28日のニュース