【杉谷拳士と一問一答】「国内外問わずいろんな形でスポーツの勉強を」「将来はファイターズの力に」

[ 2022年10月28日 17:14 ]

侍ジャパン・栗山監督から贈られた花束を手に涙する日本ハム・杉谷(撮影・高橋茂夫)
Photo By スポニチ

 日本ハムの杉谷拳士内野手(31)が28日、札幌市内の球団事務所で会見を行い、今季限りで現役引退することを表明した。花束贈呈では侍ジャパンの栗山英樹監督が登場。杉谷は涙を浮かべる場面があった。

 会見の冒頭、杉谷は「みなさん、こんにちは。何から話したらいいかわからないですけど、すみません…今日(08年の入団)テストから入って今日まで、14年間ファイターズでお世話になりました。今日は引退会見という言葉は使いたくありません。前進会見ということで、これからの人生を前進していきます。今まで14年間お世話になりました。前向きな気持ちで会見したいと思います。みなさん、お手柔らかによろしくお願いします」とあいさつした。

 会見での一問一答は以下の通り。

 ――昨夜から会見直前まではどう過ごしていた?
 「いろいろとシミュレーションはしてきたつもりだったんですけど、座った時にいろんな思いがこみ上げてきて、どう伝えていいのか。これから先、僕がどうここに向かっていくのかいろんなシミュレーションをしてきたんですけど、感謝の気持ちでいっぱいです」

 ――SNSで人生の前進会見と報告がありました。この言葉の意味を教えてください。
 「言葉の通りで、これからプロ野球選手・杉谷拳士は終わりですけど、今後に向けて人生まだまだ出発したばかりですし、そういった意味でもどんどん前進して、いつかは北海道のみならず、全国の野球ファンの皆様に恩返しができるようにたくさん力をつけて、勉強して。そういった意味でも前進という言葉を選ばせていただきました」

 ――前進といった言葉を選んだ理由は?
 「常に栗山監督からも“前に進みなさい。拳士は拳士らしくやりなさい”という話をしてもらっていました。そういった意味でも前進という言葉を使わせていただきました」

 ――決意したタイミングは?
 「シーズンが終わってからたくさんの方に相談して、いろんな面談も重ねて、今自分の将来のことだったり、ファイターズの将来のことだったり、体のこと、総合的な判断をした上でこのような形になりました」

 ――決断した一番の理由は?
 「先ほども言ったとおり、一番の理由というのは特になくて、自分の体のこと、何より自分の将来のことについて考えたときに、この先もっともっとたくさんのことを学ばなければいけない。また北海道日本ハムファイターズに恩返ししたいという思いはずっとありましたし、1つのことと言われるとなかなか難しいですが、総合的に考えてそういう決断になりました」

 ――入団して14年。ここまでを振り返って。
 「今思えば入団テストでファイターズに入りたくて、鎌ケ谷のファイターズスタジアムで一生懸命野球をやっていて、吉村(浩・統括本部長)さんにプロ野球選手になるというチャンスをいただいたことが何よりもうれしかったです。(涙ながらに)なんとか恩返しがしたいという思いで14年間頑張ってきました」

 ――今年はバラエティ番組出演も禁止してプレーしてきたが、振り返って。
 「正直満足できる数字ではなかったですけど、そういった意味でも自分にしっかり区切りをつけるということで、新たに前進するきっかけになったのかなと思います」

 ――ファンからは元気印としても愛されてきた。ファンの後押しも大きかったのでは?
 「北海道で初めてグラウンドに立てたことを今でも鮮明に覚えています。あのときの歓声は僕の野球人生の中で絶対に忘れないものになっています。今後はどういう形になるかわからないですけど、しっかり恩返ししていきたいなと思います」

 ――プロでの通算出場数は知っているか?
 「あまり意識はしなかったですけど、さきほど自分で振り返って“あっ、ラッキーだな”と思いました。(何試合?)777試合でした」

 ――その数字については?
 「それも踏まえて今後の自分に向けてものすごくラッキーだなと思っていますし、自分が前進していく上でいい区切りだったのかなと思います」

 ――ファイターズで生え抜き最年長。後輩に伝えたいことは?
 「自主トレも一緒にやっていましたし、他にもたくさんの後輩からも連絡がきた。14年間自分の野球というのは間違っていなかったのかなと思って、一人ひとりにありがとうと返信しています。ただ唯一、野村佑希という男だけは、一番かわいがっていて、今後の才能というのはものすごく持っている選手だと思っていましたし、ファイターズを背負っていかなきゃいけない選手なんですけど、人間の感情をあまり持ち合わせていないのか、あんまりパッとしないLINEがきていた(笑)今後自主トレで(松本)剛について一緒にやると思うので、顔を出してしっかり説教したいなと思います(笑)」

 ――どんなLINEがきた?
 「(清宮)幸太郎だったり、細川だったり、清水優心だったり、後輩たちからは“いろいろとお世話になりました。今後もよろしくお願いします”と涙が出るような連絡がたくさんきていたんですけど、野村佑希だけは直接伝えたというのもあるんですけど、自分からLINEしました。“J、みんなからLINEきてるんだけど、あまり恩着せがましくいうのもあれだけどLINEないのかな”って自分からしてしまったので(笑)彼にはいち早く人としての感情を覚えてほしいと思います(笑)」

 ――777試合の中で印象に残っている試合は?
 「もちろん優勝した時もありますし、去年の斎藤佑樹さんの引退試合だったり。一番は大きいケガをした時。両打席でホームランを打った時はもちろん人生の中で一番うれしいと思ったんですけど、うれしいことより打席の中で有鉤(ゆうこう)骨を折った時の音は今でも覚えています」

 ――どんな音がした?
 「振った瞬間にボキって鳴ったので、これはもしかしたらと思ったらやっぱり折れていた。骨折は初めてだなって思いながら、そのときからどういうふうにリハビリしよう、次はどういうふうに帰ってこようと思っていた。そこでまた優勝できましたし、そのシーズンは凄く印象にあります」

 ―14年間プレーしたファイターズはどのような存在?
 「いろいろ考えたんですけど、本当に家族のような存在ですし、まだまだこれからファイターズは強くなると思っています。その中で自分がこれから勉強して、どんな形であれみなさんの前でしっかりご挨拶できるような形で勉強していきたいと思います」

 ――この会見では勉強や恩返しという言葉が出ているが、今後は?
 「今はいろいろと学んでいる最中なんですけど、自分で独立して会社の登記をいつにしたらいいのかだったり、英語の勉強をして海外に行って、国内外問わずいろんな形でスポーツの勉強をしたい。マーケティングにも興味がありますし、育成だったりそういうことにも興味がある。野球だけとは言わず、アメリカだったら野球、バスケ。ヨーロッパだったらサッカー。オーストラリアだったらクリケット、ラグビー。いろんなことに視野を広げて、スポーツ界に恩返しをしようと思います」

――恩返しをしようと決めるきっかけは?
 「ファイターズの時にグラウンドで感じたファンの皆さんの声援だったり、栗山監督には“拳士は拳士らしく。みんなが拳士を見ている。その責任をしっかり果たしなさい”と言われたので、その言葉は凄く頭に残っています」

 ――次会うときにはどのような姿で戻ってきてくれる?
 「もちろんメディア関係もこれから出ることは多くなるでしょうし、本当に皆さんの前に顔を出す機会は増えると思う。将来は北海道日本ハムファイターズの力になりたいと思って、これから勉強していきます。どんな形、どういう立場であいさつするかわからないですけど、皆さんの前でしっかり報告できるように頑張っていきたいと思います」

 ――杉谷選手が今後グラウンドを駆け回る姿は見られる?
 「いや、そこはもうきっぱり。ファイターズで今までお世話になりましたし、ファイターズのユニホームで現役引退するということは伝えました。なので一度、野球選手・杉谷拳士は前進するという形になります。前進会見だからね(笑)」

 ――先ほどは涙もあったが、前進という言葉が出ると笑顔になる。
 「駄目なんですよね。ここからが人生のスタートだと思っていますし、同じように皆さんの力をお借りして、杉谷拳士に関わってくださった皆様全員でファイターズ、北海道、スポーツ界を盛り上げようと思っています」

 ――最後に前向きなメッセージを。
 「プロ野球ファンの皆様、14年間応援していただき、本当にありがとうございます。このたびは前進するためにこういう会見を開かせてもらった。今まで以上にテレビだったりで皆さんの前に出ることが多くなるかなと思いますが、杉谷拳士を応援していただければと思います」

続きを表示

この記事のフォト

2022年10月28日のニュース