オリックス・中嶋監督、ブルペン全員の力を駆使する肝っ玉采配 計4勝するための選手起用に徹した

[ 2022年10月28日 05:00 ]

SMBC日本シリーズ2022第5戦   オリックス6-4ヤクルト ( 2022年10月27日    京セラD )

<オ・ヤ>9回、吉田正(中央)はサヨナラ2ランホームランを放ち、中嶋監督(左)と抱き合う(撮影・椎名 航)
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 サヨナラ勝利の瞬間、オリックス・中嶋監督はベンチで拳を突き上げていた。さすがに大興奮していた。声が上ずっていたのも珍しい。

 「本当に凄い試合になりました。吉田正に何て言ったか、ちょっと覚えてません」

 試合前のゲームプランから中嶋監督らしい肝の据わり方が垣間見えた。宇田川と山崎颯の若き剛腕2人を思い切ってベンチから外した。前夜の第4戦で宇田川は1回2/3を無失点に抑えて勝利投手になり、山崎颯は7、8回を2回完全の好救援。宇田川は32球、山崎颯は35球を投げていた。1―0勝利を演出した立役者2人を酷使しなかった。

 3―2とリードした6回は近藤がつかまり再逆転を許した。なお2死二、三塁の窮地。託したのは阿部だ。山田を中飛、7回も1死二、三塁を招きながら無失点で切り抜けた。3―0の9回に内山壮に同点被弾した第2戦以来の登板。「やり返してほしい」と願った通り立ち直らせた。

 「阿部はしっかり抑えましたし、次のピンチも抑えました。抑えるのが、あいつの“やり返す”ですしね。みんなで勝てたと思います」

 負ければ王手をかけられる一戦でも計4勝するための選手起用に徹し、第1戦で村上に被弾した平野佳も8回を打者3人で抑えた。特定の投手に頼らずブルペン全員の力で2勝2敗1分けのタイに持ち込めたのは大きい。

 「ミスもありました。最後はこういう形になりましたが、もう一回、引き締め直します。これでタイ。あとは勝ち抜くだけだと思います」

 中嶋監督は選手の力を信じ、選手たちはそれに応える。29日から舞台は再び神宮へ。移動日を含めて2日間の休養を経て宇田川と山崎颯が使える。阿部も再起した。さあ、あと2勝だ。(畑野 理之)

 【V確率44%】オリックスが連勝で対戦成績を2勝2敗1分けのタイに戻した。過去のシリーズで2勝2敗のタイに戻したのは引き分けありを含め28度目で、オリックスは初めて。過去27度のうち追いついたチームの優勝は12度で、V確率は44%になる。

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