オリ・吉田正、村上の前で特大サヨナラ弾 東京五輪で“共闘”宿泊先で語り合ったことも

[ 2022年10月28日 05:00 ]

SMBC日本シリーズ2022第5戦   オリックス6-4ヤクルト ( 2022年10月27日    京セラD )

<オ・ヤ>9回、吉田正(中央)はサヨナラ2ランホームランを放ち、中嶋監督(左)と抱き合う(撮影・椎名 航)
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 「SMBC日本シリーズ2022」は27日の第5戦でオリックスが逆転サヨナラでヤクルトを破り、2勝2敗1分けの五分に戻した。1点差を追い付いた9回、なお2死一塁から吉田正尚外野手(29)がチーム初本塁打だった5回に続く2発目を右翼席へ打ち込んだ。劣勢を土壇場でひっくり返し、9年ぶりに第7戦までもつれ込むことが決まった。 

 ドラマは9回に待っていた。西野の内野安打と敵失で追い付き、なお2死一塁、吉田正が一振りで決めた。1ストライクからの2球目、マクガフの高めに浮いたフォークを見逃さずフルスイング。右翼5階席へ特大のサヨナラ弾を打ち込んだ。

 「感無量です。一球で仕留められて、よかった。短期決戦で、欲しい場面で打てたのは、うれしかったです」

 打った瞬間に右手人さし指を突き上げ、一塁を回ったところで万歳した。普段はクールな男が満面の笑みで本塁へ転がり込み、仲間から歓喜のウオーターシャワーを浴び、びしょぬれになって白い歯を見せた。シリーズのサヨナラ本塁打は球団史上初だった。

 徹底マークに苦しんだ。第1戦から内角攻めに加え、2度の申告敬遠を含む7四球で勝負を避けられた。「攻めも厳しいところに来られて自分のスイングができなかった。一つ吹っ切れた」。マクガフからは昨年シリーズ第1戦でもサヨナラ打。「自分の中でも、相性はいいのかなと思っていましたけど、その前は抑えられていたのでね」とまた笑った。

 不名誉記録も阻止した。5回1死で1ボールからの2球目、山下の真ん中137キロ直球をバックスクリーン右へ。第1戦から数えて、のべ打者189人目で生まれた初アーチ。第1戦から5試合連続本塁打なしなら、14年の阪神に並ぶシリーズワーストの憂き目だった。

 負けられない相手が目の前にいる。「令和初の3冠王」村上だ。昨夏の東京五輪で親交を深めた。宿泊先の自室に訪問があり、扉を開けると村上が立っていた。「打席での考え方とか、いろいろ聞かれた。“青木さんの影響が凄くある”と話していた。いい出会いもありながら、いいキャリアを積んでいる。彼が圧倒的な数字でチームを引っ張ってきた。自分もあそこを目指している。一番を目指して。絶対に目指さないといけない」。燃えないわけがなかった。

 最終戦で逆転優勝したレギュラーシーズンと同じように逆境をはね返し、2勝2敗1分けの五分。第1戦を絶対エースの山本で落とすなど主導権を握られ続けたシリーズの流れも確実に引き戻した。「チャンスをつかめるところまで来ていますので、あと2勝、まずは1勝を目指して」。26年ぶり日本一への道をはっきりと照らした。(湯澤 涼)

 ○…吉田正(オ)が5回のシリーズ1号に続き、9回にはサヨナラ弾。日本シリーズのサヨナラ本塁打は18年第5戦の柳田(ソ)以来17人、18本目で、オリックスでは初めて。ゲーム2本塁打は15年第3戦の山田(ヤ)の3本を含めシリーズ30人、35度目。サヨナラ弾を含むマルチ本塁打は03年第4戦の金本知憲(神)以来19年ぶり2人目でパの打者では初の快挙になった。なお、オリックス打者のマルチ本塁打は阪急時代の72年第3戦の加藤秀司以来50年ぶり4人目で、先発4番では吉田正が初だ。

 ○…吉田正は昨年第1戦でもサヨナラ二塁打。シリーズでサヨナラ打を2本は、64、66年にサヨナラ本塁打を放ったハドリ(南海)に並ぶ最多で2年連続は初めて。

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2022年10月28日のニュース