仙台育英 大量18点で白河の関越え王手 東北勢初の優勝へ、22日の決勝で下関国際と激突

[ 2022年8月21日 04:06 ]

第104回全国高校野球選手権第13日・準決勝   仙台育英18―4聖光学院 ( 2022年8月20日    甲子園 )

<聖光学院・仙台育英>スタンドへ駆け出す仙台育英ナイン(撮影・岸 良祐)
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 さあ、大旗を東北へ。仙台育英(宮城)が、準決勝では初めての東北対決で聖光学院(福島)を18―4で下し、7年ぶり3度目の決勝進出を決めた。2回の1イニング11得点は、準決勝以降では70年のPL学園(大阪)の12得点に次ぐ春夏通じて史上2位。18得点も、84年準決勝の取手二(茨城)以来38年ぶり3度目の夏の準決勝以降最多タイとなった。東北勢の悲願、春夏通じて初優勝へあと一つ。下関国際(山口)との運命の決勝は22日午後2時、プレーボールとなる。 

 同じ夢を持つ“同志”に、全力で襲いかかった。次々と銀傘に快音を響かせたのは0―1で迎えた2回だ。9点を挙げてなおも1死二塁。7番・秋元響(3年)の右前打を、聖光学院の右翼手が後逸。二塁走者に続いて秋元も一気に生還。スコアボードの2回に「11」が刻まれた。7安打など打者14人の猛攻だった。

 「こんな試合展開になるなんて1%も想定していなかった。甲子園の怖さを改めて感じました」

 須江航監督は、8回を除く毎回の19安打18得点をそう振り返った。猛打の核になったのは、4番から6番に打順を下げた遠藤太胡(だいご=3年)だった。高校通算24本塁打の右打者は、2回無死一塁から左越え二塁打でチャンスメーク。6―1の1死満塁で迎えたこの回の2打席目は、右中間に3点二塁打を放った。3安打でこの日チーム最多の5打点に「勝てたことが良かった。そこが全て」とした。18得点は、夏の準決勝以降では84年取手二(茨城)以来38年ぶりとなる最多タイとなった。準決勝では史上初の東北対決。車で約1時間の距離で、平日の放課後に練習試合も行う今春の東北大会覇者・聖光学院を下した。

 遠投100メートル、50メートル走6秒3と身体能力が高い遠藤。保育園年中で器械体操を始め、鉄棒や跳馬で鍛え上げ、小1でバック転、バック宙を完全マスターした。山形出身だが「日本一に一番近いと思った」と越境して仙台育英に進学。右中間二塁打はスライダーに体勢を崩されたが「体幹の強さが役に立っている」と入学時に同級生から「ボディービルダーか!」と驚かれたほどの厚い胸を張ってみせた。

 聖光学院・赤堀颯(はやと)主将(3年)からは、試合後の整列の時に「必ず優勝しろよ」と思いを託された。1915年の第1回大会決勝で秋田中(現秋田)が延長13回の激闘の末に敗れて以来、東北勢は夏9度、春3度の計12度、決勝で涙をのんだ。108年目の悲願へ。須江監督は「まだまだ白河の関は見えていない。自分たちを見失わないように身の丈に合った野球を丁寧にやりたい」と言った。

 同校にとっても、春夏通じて4度目の決勝。「歴史を変えるなら今年しかない」。佐藤悠斗主将(3年)の言葉は、全ての東北球児の思いだ。(柳内 遼平)

 《夏の準決勝以降最多タイ18点》仙台育英が2回に一挙11得点。甲子園での1イニング11点以上は16年夏の北陸戦での東邦(4回12点)以来6年ぶり。準決勝以降では、70年夏の準決勝でPL学園が高松商戦の7回に12得点して以来52年ぶり2度目だ。また、夏の準決勝以降の1試合18得点は1921年夏準決勝の和歌山中、84年夏準決勝の取手二に並ぶ最多タイ。なお、仙台育英、下関国際ともに本塁打なしで決勝進出。本塁打0の優勝は74年の金属バット導入後は92年西日本短大付、03年常総学院に次ぐ3校目となる。

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