阪神・藤浪 悪夢にうなされた日々との決別「いい一日だった」手応えの2試合連続無四死球

[ 2022年8月21日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神5―1巨人 ( 2022年8月20日    東京D )

<巨・神>4回2死二塁、ウィーラーを三振に仕留め、小さくガッツポーズをする藤浪(撮影・平嶋 理子)
Photo By スポニチ

 12球団の今季開幕投手では最も遅い勝ち名乗り、巨人戦は16年以来の白星…。433日ぶりに手にした1勝には苦闘の道のりが浮かんでも、藤浪本人の言葉と笑みは新人選手のようにみずみずしかった。

 「勝ちが付いて良かった。先発で勝つのが自分の中で一番いいし、心地いい。その瞬間が本当に久々だったので。いい一日、いい試合だったと思う」

 7回1失点。2試合続けて与四死球がなく、巨人を制圧した108球に「ファンの方、首脳陣にも安定していると見てもらえる。(無四球は)いい数字」とうなずいた。

 「正夢」に冷や汗をかいた日も報われた。開幕ローテーション入りを果たしながら、4月中旬に新型コロナ陽性で離脱。2年前、球界初の感染者となってから“天敵”は夢にも出てくるようになった。

 「自分がコロナ陽性になって。うわ、これ開幕間に合わないって…そんな夢を見て」

 中日とのオープン戦に先発予定だった3月12日の朝は全身汗びっしょりで目が覚めた。「あの日は絶対に結果を出さないといけないと思っていたので、自分の分からないところでやっぱり緊張とか不安とかはあったんだなと」。1週前の楽天戦で4回7安打5失点と崩れていた。「あの試合で絶対に打たれるわけにはいかなかった」。人知れずマウンド外でも闘っていた。

 それでも「あんな変な夢は見なくなった」と笑い飛ばす。不振に陥った17年は歯が抜け落ちてボロボロになる夢や、一本道で化け物に追いかけられ「うわぁっ!」と叫んで起きたこともあった。「あの時はすごいストレスがかかっていたので…」。トンネルの出口を求めて写経、座禅、パワースポット巡り…一人になる時間を求めて湖畔で一晩、星を眺めたこともあった。今は違う。

 「このオフはどこにも行ってない。本当に野球ばっかりしてましたね」

 残り試合は少なくても「意地」や「逆襲」を見せつける舞台はまだある。何より、藤浪晋太郎の笑顔をもっと見たい。(遠藤 礼)

 《開幕投手で最も遅い勝利》開幕投手の藤浪(神)が7回1失点で今季初勝利。12球団の開幕投手では最も遅く、2リーグ制以降の阪神でも01年星野伸之の8月12日を超えるスロー勝利となった。

 《2試合連続無四死球》前回13日の中日戦(7回1失点)に続き無四死球。先発で5回以上を投げて無四死球は、13年に3試合、15年に1試合あったが、2試合連続は今回が初めて。

 《巨人戦2328日ぶり勝利》巨人戦勝利は16年4月5日以来、2328日ぶり。同年4月26日から続いていた連敗を7で止めた。

続きを表示

2022年8月21日のニュース