羽生 公式練習で4回転半「回転足りない」もほぼ片足で降りた!SP新曲初披露は午後7時42分

[ 2021年12月24日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権第1日・男子公式練習 ( 2021年12月23日    さいたまスーパーアリーナ )

<全日本フィギュア第1日>練習に臨む羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 男子の公式練習が行われ、14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(27=ANA)が今大会初めて本番会場で調整した。前人未到の大技クワッドアクセル(4回転半)に3度挑み、最後にほぼ右足だけで着氷。フリーでの世界初成功へ期待が膨らんだ。練習後の取材では、来年2月の北京五輪挑戦も明言。24日のショートプログラム(SP)では、新曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」を初披露する。 

 コンマ数秒の間に、進化が凝縮されていた。公式練習の終盤、羽生は4回転半に3度挑戦。1、2本目は両足だったが、最後にほぼ右足だけで降りた。着地動作で左足が氷にわずかに触れたが、完成間近を印象づけた。「回転も自分の中で感触的に足りてない」と振り返りつつ「まだ自分の中で回転を10割かけている状態ではない。この氷で軸をつくることを試した」。初投入予定の26日のフリーへ、余力を残した中でのチャレンジだった。

 世界初成功への現在地が明らかになった。過去に公の場で挑んだ19年12月のGPファイナル、今年4月の世界国別対抗戦の公式練習のジャンプでは直線でスピードをつけた助走。だが、新たに披露したのは、緩やかな助走から「カウンター」という体を反転しながら跳ぶ形だった。

 アクセルは6種類のジャンプで唯一、前向きに跳ぶジャンプ。羽生はこだわりの技をさまざまな角度から検証。数え切れないほど挑み、地面に叩きつけられた。「ただがむしゃらに(体を)ぶん回して跳べるのであれば、去年のうちに降りている」。糸口はシンプルだった。「ちゃんと軸を作れれば、回転を速く回れる」と語り「形として4Aになっている」と自信を口にした。

 会場入り前日の21日には、1時間半以上も4回転半に挑み続けた。それでも成功できず、多くの思いが交錯したという。「僕だけのジャンプじゃない。皆さんが僕にしかできないって言ってくださるのであれば、全うするのが僕の使命」。あくまで最大の野望は4回転半成功だが、「延長線上に北京はあるかもしれない。腹をくくって、ここまで来た」。3連覇の懸かる北京五輪挑戦も明言した。

 4回転半を投入した究極のフリー「天と地と」を前に、クリスマスイブにSP「序奏とロンド・カプリチオーソ」を舞う。「羽生結弦しかできない表現のあるプログラム」と言う自信作。12月24日の午後7時42分、オリジナルで編曲したピアノの旋律から、王者の五輪シーズンが始まる。(大和 弘明)

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