引退決断の豪栄道 こだわりの立ち合い、一歩目はずっと「左」

[ 2020年1月28日 06:00 ]

初場所で5勝10敗、大関から陥落した豪栄道。現役引退の意向を固めた
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 【記者フリートーク】「あんな凄い人でも引退するのか」。昨年3月、イチロー引退会見の翌日。春場所を前にした豪栄道がしんみりと口にした言葉だった。反射神経は抜群。窮地に繰り出す首投げが、これほど決まる力士は少ない。現代の大相撲では決して大きな体ではないだけに、立ち合いにこだわっていた。

 「コンマ何秒の世界。いい感覚があったと思ったら、またずれる。それの繰り返し」。野球だけでなく、格闘技も好き。気になるポイントは「踏み込み、一歩目。どんなスポーツでもそこが大事じゃないかな」。最も感覚が良かった場所は「(16年)秋場所で全勝優勝した次の九州場所。成績はよくなかったけど、そこが難しい。一致しないから」。立ち合い一歩目は、埼玉栄高時代から「ずっと左」。先場所のケガが左足首以外なら…と考えてしまう。

 敗れると取組後、無言になる力士もいる。しかし、豪栄道は私が知る限り、無言だったことは一度もない。多弁でも雄弁でもないが、不調でも質問に答えようとする姿勢に、大関としての責任感が垣間見えた。結果的に引退場所で、出場力士最高位ながら、成績不振のために千秋楽の結びで相撲を取れなかった。引退の決断も、責任感の表れのような気がしてならない。(前相撲担当・水口 隆博)

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2020年1月28日のニュース