大砂嵐“ラマダンの壁”越える 深夜に食事で対策

[ 2013年5月30日 06:00 ]

会見を終えた大砂嵐は撮影用に手渡された小道具に見入る

 日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月7日初日、愛知県体育館)の番付編成会議を開き、アフリカ大陸から初の力士となったエジプト出身の大砂嵐(21=大嶽部屋)ら5人の十両昇進力士(新十両4人)を決めた。イスラム教徒の大砂嵐は名古屋場所3日目からラマダン(断食月)に入るが、深夜に食事を取るなどして対策を練る。また、同場所から西前頭15枚目での復帰が決まっていた蒼国来も新番付に組み込まれた。

 これも運命の巡り合わせだろうか。所属する大嶽部屋(東京都江東区)の前身「大鵬部屋」を創設した元横綱・大鵬の納谷幸喜氏(故人)の誕生日の29日、大砂嵐に吉報が舞い込んだ。アフリカ出身力士のパイオニアとして結果を残した21歳は「夢はまだまだ。もっと稽古して、もっと上を目指す」と上達した日本語で目標を語った。

 生前、納谷氏から「四股、てっぽう、すり足をすれば、早く関取に上がれる」と言われ続けたことを守り抜き、外国出身としては小錦、把瑠都と並ぶ史上最速、所要8場所での昇進。幕下優勝を果たした夏場所13日目には大鵬さんの仏壇に線香を上げ、納谷芳子夫人からコップをプレゼントされたという。

 自己最高位の東幕下7枚目で迎えた夏場所で7戦全勝し、誰もが一度ははね返される幕下上位の壁も突破した。しかし、イスラム教徒であるが故、7月の名古屋場所では「ラマダンの壁」に直面する。3日目(9日)から千秋楽(21日)までの13日間が今年のラマダン期間と重なり、日の出から日の入りまでの時間帯は食事や水を摂取することができない。気温30度を超える7月の名古屋では、午前5時頃から午後7時頃までがその時間。最後の取組(7番相撲)だけが重なった昨年(序二段)とは比べものにならないほど過酷な状況となる。他の力士が寝静まる前に、自らチャーハンなどを作って深夜3時から食事を取ったり、宿舎近隣のマクドナルドで調達するなどして対策を練る方針。本人は「大丈夫」と胸を張り、師匠の大嶽親方(元十両・大竜)も「我慢ができなかったら(ラマダンを)場所後にずらすこともできると聞いている」と語る。化粧まわしはピラミッドなど、エジプトに関連したデザインが候補。角界のピラミッドを確実に上昇する異色力士は「横綱を目指す」と頂点に視線を向けた。

 ▽ラマダン イスラム暦の9月を指す。この月の日の出から日没の間、イスラム教徒は義務として断食を行う。13年は7月9日から8月7日まで。旅行者・重労働者・妊婦・乳幼児・病人ら、合理的な理由のある場合は断食を免除される。

 ◆大砂嵐 金太郎(おおすなあらし・きんたろう=本名・アブデルラフマン・シャーラン)1992年2月10日、エジプト・カイロ生まれの21歳。16歳から相撲を始め、08年の世界ジュニア選手権で無差別級3位。11年秋に大嶽部屋に入門し、12年春場所で初土俵。趣味は水泳、乗馬、パソコン。1メートル89、143キロ。血液型A。

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